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井上尚弥の対策は? その時、最強王者フルトンはなぜ“ニヤリ”と笑ったのか…“世紀の一戦”を前に激白「オレの方がより賢明なボクサーだ」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byL)Hiroaki Yamaguchi R)JIJI PRESS
posted2023/06/30 11:03
井上尚弥との対戦まで1カ月を切った今、フルトンは何を語ったのか。井上の負傷によって“延期”となったことにも言及した
――この試合は日本ボクシング史上でも最大級の一戦であり、多くの人が注目しています。ファンを喜ばす戦いをしたいですか? それとも頭にあるのは勝つことだけですか?
SF 俺はただ自分のために戦う。本当に自分だけだ。キャリアの現時点での俺にとって、他の誰かを喜ばせられなかったとしても、そんなことは問題じゃない。他の人間のために戦っていたら、もうどこかで負けていただろう。すべての試合は自分と故郷のためのものだが、最も重要なのは自分自身だ。日本やアメリカのファンを喜ばせるために戦うつもりはまったくない。ただ、俺は優れた選手だから、みんなは俺のパフォーマンスを喜ばしく思うだろう。俺はとても頭がよく、常にトップレベル、エリートレベルのボクサーと戦ってきた。そのおかげで、特に喜ばせようとは試みなくても、自然といい試合になっていくはずなんだ。
――今戦はあなたにとってどんな意味があるのでしょう?あなたのキャリアで最大の戦いだと感じていますか?
SF それは疑いもないことだ。(微笑みながら)俺は自身が持つ世界タイトルの防衛戦を、相手の国で行うんだぜ?(日本の)ボクシング界で最も重要な選手と、その相手の国で戦うんだから。
――主要媒体のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングでトップ3に入っている井上選手に勝てば、あなた自身もPFP入りを果たすはずです。その点も重要なモチベーションの1つになっていますか?
SF モチベーションだとまでは言わない。それらのランキングにはランクされるに相応しくない選手が含まれているのを目にするからだ。そういったリストのことを気にしてはいられないよ。ランキングを見渡すことに自分のエネルギーを費やしたり、そこに含まれることに集中するつもりはない。もっと若い頃は気になったけど、キャリアの今の時点ではそうではない。ただ、矛盾していると思うかもしれないけれど、実際にランクされたら素晴らしいし、喜ばしいことだろうとは思う。
「試合が終わったらすぐ帰国する」
――今回の試合がスーパーバンタム級での最後の戦いになりますか? それともこの階級に残り、4団体統一を目指すのでしょうか?
SF もしも統一戦ができるなら、それを目指す。そうでなければ上の階級に行くよ。
――井上選手とのタイトル戦以外、日本でやりたいと思っていることはありますか?
SF 現時点では何も頭にない。仕事を終わらせたら、何か他に楽しめることを考えるだろうな。今はまだその時ではない。
――せっかく日本に行くのだから、試合後に何日か滞在するつもりですか?
SF いや、すぐに帰国するよ。今回の試合は7月25日で、俺の誕生日は7月17日だ。そして、俺の息子は7月21日が2歳の誕生日なんだ。つまり俺は2つの誕生日を祝う機会を逃してしまうということ。だから、試合が終わったらすぐに家族のもとに戻るつもりだ。
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