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羽生善治新会長「忙しい方が…」二刀流でタイトル100期なるか? 元A級棋士が知る“七冠後の羽生”に米長邦雄55歳が感心した日とは
posted2023/06/14 17:00
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
JIJI PRESS
公益社団法人・日本将棋連盟の通常総会は6月9日、東京・千駄ヶ谷の将棋会館にほど近いホールで開催された。その席上では、連盟会長の退任を表明していた佐藤康光九段(53)に替わり、初めて理事に選任された羽生善治九段(52)が連盟会長に就任した。羽生が連盟の運営に携わるに至った経緯、東西の将棋会館の建設や新四段の挨拶など、順位戦A級在籍経験のある田丸昇九段が出席した総会の模様について伝える。
37年間の経験がこのタイミングならば活かせるかも、と
通常総会に先立つ4月26日、任期満了に伴う「役員予定者予備選挙」が行われた。現職の8人の理事のうち、佐藤会長と常務理事の鈴木大介九段(48)が退任をすでに表明し、羽生九段と片上大輔七段(41)が新たに立候補していた。羽生は、37年間の棋士生活の経験がこのタイミングならば活かせるかもしれない、と考えたという。
そして、正会員(棋士と四段以上もしくはタイトル経験のある女流棋士=計254人)による投票の結果、常勤理事(8人)、非常勤理事(7人)、監事(2人)が、過半数の信任票を得て選任された。総会では、全員の理事が拍手によって承認された。
今年の通常総会に出席した正会員は141人(49通の委任状を含む)。佐藤会長が冒頭で挨拶し、議長に野月浩貴八段(49)、副議長に糸谷哲郎八段(34)を指名して承認された。
まず議長は、2022年度に四段に昇段して正会員になった棋士たちを役員席の前に呼び、彼らは先輩棋士たちに向かって並んだ。四段昇段順に、藤本渚四段(17)、齊藤裕也四段(26)、小山怜央四段(29)、小山直希四段(23)、森本才跳四段(22)、柵木幹太四段(25)、中村真梨花女流四段(36)。※藤本四段は欠席。
新四段たちのユーモアあふれるあいさつ
新四段たちはその場で自己紹介するのが通例だが、緊張して紋切り型になることが多い。しかし、今年の挨拶はなかなか面白かった。
小山怜央「岩手県出身で、あの大谷翔平選手と同じだと覚えていただきたい」
小山直希「有名じゃない方の小山と言われないように頑張っていきたい」
森本才跳「デビュー戦から3連勝していて、前人未到の30連勝を目指したい」
柵木幹太「愛知県西尾市の出身で、名産品の抹茶のように味わい深い将棋を指したい」
中村真梨花「5月末に女流四段に昇段したばかり。女流棋士として20年ですが、正会員としては1年目。皆さんにご指導していただきたい」
過去の新四段たちの総会での挨拶も紹介する。それぞれに個性的だった。