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群雄割拠のRIZINで輝く斎藤裕の“普通”という個性…セコンド上田将勝が語る勝因と“平本蓮への本音”「強かったし、格闘技に真剣」 

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布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph byRIZIN FF Susumu Nagao

posted2023/05/02 17:14

群雄割拠のRIZINで輝く斎藤裕の“普通”という個性…セコンド上田将勝が語る勝因と“平本蓮への本音”「強かったし、格闘技に真剣」<Number Web> photograph by RIZIN FF Susumu Nagao

4月29日、『RIZIN LANDMARK 5』で平本蓮に判定勝ちを収めた斎藤裕。試合翌日、セコンドの上田将勝に話を聞いた

 とはいえ、斎藤陣営が大きく作戦を変更した形跡は見当たらない。上田がしつこいほどにアドバイスし続けたのは、「力を抜いて」という一点だった。

「力むと、あとから腕がパンパンになって疲れてしまう。そうなったら後半でタックルに入れなくなり、打撃の攻防で危なくなる。だから力を出し切った状態にならないように指示を出していました」

 もともと平本との再起戦が決まるや、上田は練習のときから「力を抜いて」という指示を再三出していた。もしかしたら、このやりとりこそ最大の勝因だったのかもしれない。

「斎藤君は試合でもずっとリラックスして闘ってくれたと思います」

平本蓮との打撃戦は「怖かった」…陣営の本音と勝因

 また、自身の現役時代の経験も踏まえて、上田は今回「挑戦者の気持ちでやるように」とアドバイスを送っていた。

「一度タックルを切られたくらいで落ち込まずに、切られたら何度でもトライすればいいという精神で。圧倒して勝たなくてもいい。とにかく競り勝とう、接戦でも何でもいいから勝とう、と声をかけていました」

 元K-1ファイターである平本のお株を奪うかのように、斎藤が右クロスを決める場面もあった。試合後、斎藤は「これがMMAです」と競技の違いをアピールしていたが、上田は「(打撃戦は)怖かった」と本音を漏らした。

「それでも多少は打ち合わないと、中には入れない。そのためにもガードはしっかりさせていた。もぐり込んで中に入る。作戦でやっていた通りでした」

 斎藤のセコンドとして心がけていることもある。「余計なことを言わない」というものだ。

「斎藤君は自分で考えてやるタイプなので、僕は難しいことは言わない。励ますだけです。試合中しんどくなったら、選手は諦めたくなるもの。僕もそうだった。苦しくなったら、早く帰って休みたいという気持ちになりがちですから」

 上田の目から見て、今回の斎藤は全ラウンドを通して集中しているように見えた。疲れを感じさせることもなかった。「でも……」と上田は言葉を続ける。

「1年も試合のブランクが空いたら試合勘も鈍るので、怖さもあったと思います。だから3ラウンドが始まるときには『あと1ラウンド、頑張れ』と声をかけた。これは想像ですけど、ブランクがある分、最終ラウンドは長く感じるだろうと思いました」

【次ページ】 斎藤裕が試合後に語った「次は1年後で」の真意とは?

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