サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
堂安律「セレッソのオファーを1秒で蹴ってやる」小4での決心を実現も…挫折と号泣の“ガンバ中学生時代”「リツ、おっさんみたいやな」
posted2023/04/23 11:00
text by
堂安律Ritsu Doan
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
“末っ子気質”がアスリートに向いていたのかも
〈あきらめが悪くて負けず嫌い。どんな相手の懐にも入っていける「末っ子気質」〉
サッカーを始めたのは3、4歳のころ。兄貴ふたりがサッカーをやっていた影響で、俺も物心がついたころからボールを蹴っていた。
3つ上の憂が俺のアイドルだった。まさに、マンガやアニメでよくある「目指せ、兄貴」というあの感じ。小さいころは毎日、近所の公園で一緒にサッカーをして、泣くまでボコボコにされた。兄貴にはどうやっても勝てなかったけど、俺は根っからの負けず嫌いだから、何度も何度もこりずに勝負を挑んだ。
「まだまだ!」「もう1回!」が俺の口グセだった。3兄弟の末っ子であることが、俺のパーソナリティーを形成する大きな要素になっている。末っ子はいい意味で、あきらめが悪い。スポーツの世界はどれだけ壁にぶち当たっても、しつこく生命力のある人間が生き残る。性格的にアスリートに向いていたのかもしれない。
俺はオトンやオカンに「よう、しゃべる子やな」と言われて育ってきた。実際、堂安家の3兄弟のなかで、末っ子の俺が群を抜いておしゃべりだったのは間違いない。兄貴たちは知らない人が来るとおとなしくなったけど、俺は普通にしゃべっていたらしい。
兄貴たちの失敗を見て、「こうしたらオトンやオカンに怒られるんやな」「こうすればホメられそうやな」ということを無意識に覚えたんだと思う。どんな相手の懐にも入っていけるコミュニケーション能力や空気を読む能力は、間違いなく末っ子気質のおかげ。この性格が自分を本当に助けてくれている。
オトンとオカンの影響ももちろん大きい。俺は小さいころから一度もサッカーの練習を休んだことがない。オトンとオカンは、サッカーが終われば、多少遊んで帰ってきてもなにも言わずに許してくれた。だから、練習をサボる必要がなかった。そんな両親のもとで育てられたことが今の俺につながっていると思う。
小4での挫折と「正直ものすごくムカついた」
〈人生初の挫折。「セレッソのオファーを1秒で断ってやる」〉
人生で初めての挫折は、小4でセレッソ大阪アカデミーのセレクションに落ちたこと。地元の浦風FCでは、俺がいちばんうまいと思ってサッカーをやってきたけど、セレッソのセレクションに行ったら、俺よりもうまいヤツばかりいた。通常は3次選考までなのに、俺が参加したのは4次選考。15人、16人が参加して2人、3人が合格する最終試験だった。
そのなかでもひとりだけずば抜けてうまいヤツがいると思ったら、のちにU-20W杯に一緒に出ることになる舩木翔くんだった。