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大谷翔平の“マンガを超越した怪物ぶり”がわかる「16番」の物語…打撃の神様・川上哲治は“投手の夢”を星飛雄馬に託した? 

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高木圭介

高木圭介Keisuke Takagi

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photograph byNanae Suzuki

posted2023/03/29 06:01

大谷翔平の“マンガを超越した怪物ぶり”がわかる「16番」の物語…打撃の神様・川上哲治は“投手の夢”を星飛雄馬に託した?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

WBC世界一に貢献した大谷翔平。大きな背中に映える「16番」は、少年たちの憧れの番号になっただろうか

 “赤バットの川上”はテレビ時代のスター選手ではない。しかし『巨人の星』は1966~71年の週刊少年マガジン連載時以降も下の世代にまで読み継がれ、さらにテレビアニメ版も本放送(1968~71年)以降もなお、延々と再放送が繰り返されたおかげで、これら16番をめぐる物語の認知度は高く、それが16番のブランド化を促進させている。

 のちに父・一徹が飛雄馬の敵として、中日ドラゴンズにコーチとして入団した際の背番号には84番を選ぶことになるのだが、その理由も「飛雄馬の16と、ワシの84を合わせれば100となる。父と子で100%!」なんて理由が添えられていたものだ。

 背番号とは、かくも深い意味を持ち、さまざまな思いが込められたものだ……と現在の50~60代は思い知らされている。決して軽い理由であってはならんのだと。

野茂英雄は「タカ・タナカ」をリスペクト?

 ドジャース時代に16番を背負った野茂英雄は、巨人の星世代なだけに、川上ならぬ飛雄馬をイメージして“大リーグ”のマウンドに立ったのか?と思いがちだが、さにあらず。なんと旧知の仲であった、とんねるず・石橋貴明が映画『メジャーリーグ2』(1994年・米国)にタカ・タナカ役で出演した際の背番号に由来しているのだとか。それほど重たい理由付けはなかった。

 とはいえ、かつては野手の背番号だった「16番」は日本人メジャーリーガーの道を切り開いたパイオニアのイメージが定着。現在はほとんどの球団で主力級の投手が背負っている(楽天では今季から石井一久監督が現役時代に背負った番号として「16」に変更した)。

【次ページ】 V9川上監督は栗山監督より若かった!

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