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井上尚弥が口にした重み「どれだけの方のご尽力が…」フルトン戦会見の“緊張感”の正体とは? 帝拳・本田会長は「史上最大のイベント」

posted2023/03/08 17:02

 
井上尚弥が口にした重み「どれだけの方のご尽力が…」フルトン戦会見の“緊張感”の正体とは? 帝拳・本田会長は「史上最大のイベント」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

3月6日、スティーブン・フルトン戦の記者会見に臨んだ井上尚弥。いつになく引き締まった表情は、この試合の“重み”を感じさせるものだった

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Yamaguchi

 前バンタム級4団体統一王者、井上尚弥(大橋)が5月7日、横浜アリーナでWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトン(米)に挑戦することが3月6日、発表となった。なぜ井上は階級アップして即2団体チャンピオンに挑戦することができるのか。その背景に迫る。

「いきなり世界挑戦はない」と思われていたが…

 3月6日、都内のホテルで記者会見した井上は次のように切り出した。

「このフルトンとの試合を日本でできるということは、どれだけの方々のご尽力があったのか、どれだけすごいことなのか、と思いながら5月7日に結果でお返ししたい。あと2カ月、過去最大のモチベーションでトレーニングに励んでいけると思う」

 この日の井上は少し呼吸を整えるような姿も見られ、珍しく緊張しているように感じられた。それだけこの試合の重みを強く受け止めているように思えた。

 それにしてもスーパーバンタム級に進出した井上がいきなり世界挑戦できるとは思っていなかった。井上がポール・バトラー(英)を下してバンタム級4団体統一をはたした昨年12月の時点では、少なくとも「いきなりはない」と見ていたのは私だけではなかったと思う。

 現在のスーパーバンタム級は、フルトンがWBCとWBO王座を、ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)がWBAとIBF王座を保持している。つまり主要4団体のチャンピオンは2人だけ。この2人が挑戦を受けてくれない限り、井上は世界タイトルマッチの舞台に立つことはできない。あるいはフェザー級進出を目論むフルトンが王座を返上すれば、王座決定戦という道も考えられなくはなかった。

 こうした状況で、井上のスーパーバンタム級進出に向けた準備は始まった。この時点でアフマダリエフはIBFから指名試合を指令されていた。一方、WBCはフルトンと元スーパーバンタム級2団体統一王者、ブランドン・フィゲロア(米)とのフェザー級暫定王座決定戦を承認しており、フルトンがフィゲロアとの対戦に向かっていたのは明らかだった。井上がクラスを上げていきなり世界挑戦するのが難しいと思われたのはこうした理由からだった。

【次ページ】 交渉成立のカギは「フルトンの熱意」だった

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