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那須川天心は本当に“ボクシングでも”勝てるのか? 記者が驚いた“天心19歳vs後の世界王者”のスパーリング「貪欲さはボクサーをはるかに凌駕」

posted2023/03/22 06:00

 
那須川天心は本当に“ボクシングでも”勝てるのか? 記者が驚いた“天心19歳vs後の世界王者”のスパーリング「貪欲さはボクサーをはるかに凌駕」<Number Web> photograph by KYODO

那須川のデビュー戦の相手は日本バンタム級4位の与那覇勇気(右)。プロ通算成績は17戦12勝(8KO)4敗1分

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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 那須川天心に象徴されるように、昨今では格闘技界からのプロボクシング転向が目立つようになった。ただ、キックからの転向、あるいは反対のケースは昔からあったが、日本では成功体験がなかなか聞こえてこなかった。

 しかし近年は明らかに傾向が変わってきた。元K-1王者の藤本京太郎はボクシングに転向し、敗れたものの現WBA王者のデュボアとも対戦している。また現役では、元K-1王者の武居由樹が大橋ジムからプロボクサーとなり、デビュー戦から6連続KO勝ち。すでに東洋太平洋スーパーバンタム級王座につき、那須川とも体重が近いだけに近い将来ライバル対決がクローズアップされるかもしれない。

 逆にボクシングからキックに転向するほうが、壁は厚そうだ。元日本ミドル級王者からキックに転向し今はプロレスラーの鈴木悟は、キックで惨敗を繰り返し、意地になって続けたという話を聞かせてくれた。

那須川のボクシング転向の異常な注目度

 ここで指摘したいのは、空手やキックの選手が「打撃」をマスターするためにボクシングジムに通うのが、今や当たり前になっているという事実である。

 格闘家がボクシングを学ぼうとする貪欲さは、ボクサーをはるかに凌駕する。実際のところ、格闘技を経験したキッズたちが、ボクシングジムに通ううちにボクサーになったという転向例はいまや当たり前なほど多いのだ。

 キックで「神童」とまで言われた24歳は、ボクシングでどんな活躍をみせるだろうか。キックの頃の那須川にボクシングを指導した葛西裕一さんが自らのジムを開いた2017年のセレモニーで、那須川が尾川堅一と対した1ラウンドのスパーリングを観たことがある。当時19歳の那須川は後の世界王者を相手に、ほぼ互角に近い攻防を展開していた。

 那須川のボクシング・デビュー戦(4月8日・有明アリーナ)の発表記者会見には100を超える報道陣が駆け付け、ほとんどのテレビ局がスポーツニュースで伝えた。キックでは伝説的な試合を経験してきた那須川も、これほど多くのメディアが殺到することはなかったと言い、「少し悔しい」とも口にしていた。逸材の転向はボクシング界としても歓迎したいところだろう。

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