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“中学までに挫折した部員”が選手権優勝…岡山学芸館・高原監督が語る“健全な競争と100分トレ”「日本一熱い球技大会と呼ばれてます」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/03/06 11:19

“中学までに挫折した部員”が選手権優勝…岡山学芸館・高原監督が語る“健全な競争と100分トレ”「日本一熱い球技大会と呼ばれてます」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

第101回の全国高校サッカー選手権を制した岡山学芸館。監督などに現地取材して日本一までのプロセスを聞いた

 岡山学芸館の平日練習は午後6時半頃に終了するが、その後は自主練習の時間が設けられている。選手が個々の課題に取り組んだり、長所を伸ばしたりする。自主練の時間を有効活用した選手の代表が、選手権でも存在感を見せたMF岡本温叶選手。身長166センチと小柄ながら、左右どちらも精度が高いキックが特徴で、準決勝の神村学園戦では同点弾を決めている。

 ペナルティエリアの外から左足で決めたゴール。ファーサイドから内側へ曲がる軌道は技術の高さを物語っていた。ただ、左足は岡本選手の利き足ではない。中盤でプレーする上では両足を操る必要性を感じ、自主練で左足のキックを繰り返した。高原監督もコーチ陣も「決して身体能力は高くない」と話すが、誰もが認める努力家。周りからは「自主練の鬼」と呼ばれていた。指揮官は「最終的には左足の方が上手いのではないかというレベルになっていました」と評した。

フィジカルトレーニングも数値化している

 目的意識を持ち、限られた時間で質を追い求める練習はフィジカルトレーニングにも表れている。チームは昨年から、選手の筋力を明確に数値化している。目標に掲げるのは青森山田、大津、前橋育英といった強豪校の数字。選手たちは自分には今、どんな要素がどれくらい足りていないのか把握して、追いつくための道筋を描く。高原監督は「全国大会の上位に進むには、個のレベルを上げていかなければいけないと最近は強く感じています。足元の技術があってフィジカルも強いチームには、組織力を鍛えても限界があります」と話す。

 そして、フィジカルトレーニングでも競争を欠かさない。トレーナーによる勉強会で、数字を伸ばしている選手が報告される。ライバルの動向が闘争心に火をつけている。

 Jリーグクラブへの内定者を擁する優勝候補を撃破して岡山県勢で初めて日本一を達成した岡山学芸館は、「番狂わせ」と表現されることもあった。「攻守の切り替えやハードワークの質を上げて、グループで個に対抗する戦い方が正しかったと選手が証明してくれました」と高原監督。チーム内外の激しい競争や効果を最大限に生み出す練習法。確かな根拠がなければ、全国の頂点には立てないのである。

 そんな岡山学芸館で、ピッチでのプレー以外の部分でも特色がある。それは「入部希望部員はすべて受け入れる」、そして「勉学に励みながらレギュラーとして活躍する選手もいる」点なのだという。

(#3へつづく)

#3に続く
「自主練の鬼が指定校推薦」「選手権後にセンター受験→国立大合格」高校サッカー優勝校に見る文武両道「部活と勉強はお互いを…」

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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