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藤井聡太「最年少名人挑戦」有力も…5人プレーオフだと“4連勝”あるのみ? A級順位戦最終局の状況を田丸昇九段が整理する
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by日本将棋連盟
posted2023/02/27 17:02
王将戦第5局前日検分での藤井聡太五冠。3月2日には最年少名人挑戦に向けて、順位戦A級最終局を戦う
2015年には、上位から行方尚史八段、渡辺二冠、久保利明九段、広瀬八段の4人が6勝3敗で並び、1番手の行方がプレーオフを制した。
2018年には、上位から稲葉八段、羽生善治三冠、広瀬八段、佐藤康九段、久保王将、豊島八段の6人が6勝4敗で並び、2番手の羽生がプレーオフを制した。なお、以上の4例の挑戦者は、名人戦でいずれも敗退した。
過去50年のA級順位戦で1期目の棋士が名人戦に初挑戦したのは、1978年の森八段、1983年の谷川八段、1994年の羽生棋聖、1995年の森下卓八段、1996年の森内俊之八段、2016年の佐藤天八段、2017年の稲葉八段、2021年の斎藤八段の8例がある。
そのうち、谷川八段が加藤一二三名人、羽生棋聖が米長名人、佐藤天八段が羽生名人をそれぞれ破り、新名人になった。
とはいえ「先手番」である藤井五冠が有力か
3月2日に行われるA級順位戦の最終戦。その結果によって生じる名人戦の挑戦者争いを、いろいろなケースで推測してみた。何といっても藤井五冠がやはり有力だ。最終戦の稲葉八段との対局で、勝率が圧倒的に高い「先手番」であることが大きい(王将戦第5局の羽生九段戦で先手番連勝記録を「27」に伸ばしている)。
藤井五冠がA級1期目で名人戦に初挑戦し、4月から始まる名人戦で渡辺名人を破って新名人になれば、1983年に谷川名人が樹立した21歳2カ月の最年少記録を更新する。
その前に進行中の王将戦、棋王戦を制覇すれば、「六冠」から「七冠」へのタイトルロードとなる。
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