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ブンデス・フットボール紀行BACK NUMBER
「マコトは全てのプレーに責任を」長谷部誠39歳はW杯後、ドイツで再び輝く…なぜ修羅場で「俯瞰力とリーダーシップ」を発揮できるか
posted2023/02/22 11:00
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
DeFodi Images/Getty Images
長谷部誠の季節がやってきた。
長谷部は昨年後半にアクシデントに見舞われていた。チーム最年長の38歳、すでにUEFAコーチングライセンスのカリキュラムにも取り組んでいる日本人DFはアイントラハト・フランクフルト(街名との混同を避けるため、アイントラハトと表記)のオリバー・グラスナー監督から絶大な信頼を寄せられ、“アイントラハトの泣き所”とも称される3バックのリベロで重要な役割を担ってきた。
カタールW杯後から鮮やかな復活を果たした
今季2022-2023シーズンも主にUEFAチャンピオンズリーグの舞台で出場機会を与えられ、スポルティングCP(ポルトガル)、オリンピック・マルセイユ(フランス)、トッテナム・ホットスパー(イングランド)といった各国の強豪クラブを相手に堂々と渡り合ってチームのグループステージ突破に大きく貢献した。しかし、そのグループステージ第4節となった昨年10月のアウェー・トッテナム戦で相手FWソン・フンミンと交錯した長谷部は、左膝内側靭帯を痛めて途中交代。その後は欠場を強いられることとなる。
当時のアイントラハトは11月に日本での親善試合を予定していたため、長谷部は古巣である浦和レッズやガンバ大阪との対戦に向けて懸命なリハビリを続け、結局日本へ凱旋した際は短時間ながらもピッチに立つことができた。しかし今年の1月に39歳となる年齢、そして古傷にして慢性的な痛みに悩まされてきた膝を再び負傷したこと、そして、この時期のアイントラハトがブンデスリーガや各カップ戦でそれなりの成績を収めていた事情もあり、今季残りの彼の出場機会は減少するのではないかというのが大方の見方だった。
しかし、“ブンダバー”な長谷部は例年と同じく、カタールワールドカップを経て、ウィンターブレイク明けから鮮やかな復活を果たす。依然として適任者を見出せないバックライン中央のポジションを任された彼はブンデスリーガ第18節のバイエルン・ミュンヘン戦で無双の活躍をして強烈無比なバイエルン攻撃陣に立ち向かってチームにドローをもたらし、続く第19節のヘルタ・ベルリン戦ではきっちりとシャットアウトして3-0勝利に貢献した。
「ハセベは5パーセントを補うに等しい働きを」
グラスナー監督は長谷部の負傷中にリベロに抜擢していたクロアチア人DFフルボイェ・スモルチッチと長谷部との違いについて、ドイツ最大手のサッカー専門誌である『Kicker』のインタビューで独特な表現を用いてこう語っている。