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武豊「ディープインパクトはダートでも強かったと思う」ディープにダイワスカーレット、2頭の名馬が“走らなかった”幻のフェブラリーS計画
posted2023/02/18 11:04
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Tomohiko Hayashi
今週末の第40回フェブラリーステークス(2月19日、東京ダート1600m、4歳以上GI)は、レース史上初めて参戦する外国馬がいたり、福永祐一の国内GIラストライドの舞台であったりと、話題の多い一戦である。
フェブラリーステークスは、1984年にGIIIのフェブラリーハンデキャップとして創設され、94年に現在の名称となってGIIになり、97年、GIに昇格した。芝とダートの二刀流でGIを制したアグネスデジタル、種牡馬としても成功したゴールドアリュール、ダートGIを9勝したエスポワールシチーなど、数々の名馬が勝ち馬として名を連ねている。
その歴代の勝ち馬に、ひょっとしたら加わるかもしれなかった、「超」がいくつもつくスーパーホースがいる。
「強い馬が勝つ」のではなく、「勝った馬が強い」のが競馬であり、勝ち馬として競馬史に名を残すのは、実際に先頭でゴールした馬だけだ。あくまでも、それを承知のうえで言う「タラレバ」なのだが、「幻のダービー馬」ならぬ、「幻のフェブラリーステークス優勝馬」は――。
2005年に圧倒的な強さで史上2頭目の「無敗の三冠馬」となったディープインパクトと、ライバルのウオッカを下した2007年の桜花賞などGIを4勝した女傑ダイワスカーレットである。
ディープインパクトもフェブラリーSに出ていたかも?
ディープインパクトは、武豊を背に2005年の皐月賞、日本ダービー、菊花賞を完勝し、1984年のシンボリルドルフ以来、史上2頭目の「無敗の三冠馬」となった。直線だけで前のすべての馬をかわし、レース後、武が「今日も飛びましたね」とコメントするのがお馴染みになっていた。
同年の有馬記念で初めての敗北を喫するも、翌06年、天皇賞・春、宝塚記念を圧勝し、国内に敵はないことをあらためて証明。そして秋、「世界最高峰」の舞台と言われる凱旋門賞に臨んだが、3位入線後失格となった。
帰国初戦のジャパンカップ、ラストランとなった有馬記念も完勝。引退後、種牡馬となり、2012年から11年連続リーディングサイアーとなっている歴史的名馬だ。
競走馬としての通算成績は14戦12勝、2着1回、失格1回。14戦すべてが芝だったのに、なぜこの馬が「幻のフェブラリーステークス優勝馬」なのか。