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ドルーリー朱瑛里15歳も「過度な取材は控えて」 10代選手への“日本の過剰なマスコミ”の大問題…安藤美姫や岩崎恭子らも苦悩を明かしていた
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2023/02/06 17:10
「晴れの国岡山」駅伝の3区を走るドルーリー朱瑛里(15歳)
“ワイドショーや一般紙の過熱報道”をどう考えるか?
安藤、岩崎の2人にとどまらず、大衆的な注目を集め、それに苦しんだ選手たちがいる。
共通するのは、取材するメディアはスポーツ関係にとどまらず、一般紙(誌)にも広がっていき、テレビ報道にはスポーツニュースだけでなく、ワイドショーなども参加すること。競技以外にも関心の目を向け、「あらゆる」と言ってよいほど情報を集めようとする。人柄、趣味、どんな生活を送っているか、好きな食べ物は……。それらの情報を得るために本人に密着するのはむろんのこと、周辺にいる人々に手当たり次第に取材にあたる。アポなどなしに、乱暴と捉えられる手法をとるケースもある。それを不快に思う読者(視聴者)は当然いて、場合によっては当のメディアのみならず選手に対して怒りの矛先を向けるケースもある。自身と周囲を固められて、安藤の言う「居場所がない」状態は簡単に形成される。
メディアの過熱は一般にも波及する。SNSが発達した今日では、その影響はなおさら大きくなる。
競技の成績に秀でていても、そこを離れれば一人の人間にほかならない。競技歴を重ねて、経験を積んできた選手なら対処の仕方を気持ちの面でも身につけているかもしれないし、トップアスリートであればマネジメント事務所なりなんなり、間に立つ存在もある場合が多い。でも、なんといってもドルーリーはまだ15歳だ。立ち位置は異なる。
先にも触れたように、SNSそして動画サイトが活発となり、誰もがメディアと言ってもよい中、旧来のメディアとして取り組むべき課題があるのは当然である。容易ではないが、誹謗中傷や盗撮なども対処するべき問題であろう。
少なくとも「窓口」となって間に入る存在があってもよいのではないかと考えるが、それにとどまらず、選手本人が圧し潰されることがないよう、我々メディアも取り組まなければならない。ドルーリー、そしてこれから同じような問題に直面する選手がいるであろうことを考えても。
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