濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「プロレスはどんなパーティーより楽しい(笑)」元eggモデルの“大学生ギャルレスラー”小橋マリカはこうして誕生した《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byShiro Miyake
posted2023/02/02 17:01
中学生でデビューを果たし、大学受験を経て復帰した現在は“ギャルレスラー”として人気を集める小橋マリカ
リングネームの「小橋」は本名ではない。誰もが小橋建太を連想するが、プロレス界のビッグネームにあやかったものでもなかった。大日本プロレスで特に好きだったアブドーラ・小林の「小」と、レフェリー兼選手の大橋篤(フランク篤)の「橋」で小橋、である。
「自分で考えたんですけど、やっぱり小橋建太さんがいるからやめておこうと思って。それで“大林”はどうかと思ったら、団体の上の人が“元バレーボールの選手のイメージがある”って。結局、小橋になって“それでよかったんだ”と思いましたね。小橋建太さんにお会いした時、リングネームの由来を説明したら爆笑されてました(笑)」
それでもコスチュームには小橋建太のイメージカラーであるオレンジを使った。団体側のアイディアだった。デザインはアイドル風だ。
「正直“違う”と思ってましたね。私は黒と金色にしたかった。でもそれは中学生らしくないと。大人にやらされたコスチュームです。団体の偉い人たちだけじゃなくて、選手もみんな歳上じゃないですか。お姉ちゃんがたくさんいる感じで“かわいい中学生”として見られちゃう。ちょっと髪を染めたら“マリカは黒髪が一番似合うんだからやめなさい”みたいな(笑)」
人気を集めたのは“中学生レスラーが頑張る姿”
試合はといえば、素人目にも拙く見えるものだった。ただ中学生レスラーだから、拙さが“可愛げ”に見えたりもする。アブドーラ・小林の技である「バカチンガー・エルボー」や「愛してますチョップ」を使うものだから余計に微笑ましい。小橋建太ばりにマシンガンチョップも繰り出した。なんというか会場全体が親戚のおじさん、おばさんのような状態。マリカに関しては勝ち負けがどうこうではなく、頑張っている姿を見られればそれでよかった。
「自分もそれに甘えてる部分がありましたね。やられても一発返せば褒めてもらえるんですよ。負けるのが普通で、それを疑問に感じてなかった。“大人に勝てるわけない”って、自分でもそう思ってしまって」
曰く、プロというより「部活の感覚」。そういう中で、エース・山下実優はリング上で厳しく接してくれた。マリカとの試合、山下はあえて3カウントではなくギブアップを奪ってフィニッシュしたことがある。痛みでタップ(参った)する悔しさを感じてほしかったという理由からだ。レスラーなら悔しさをバネにしろ、ということでもある。
「リングでは厳しくて強くて、普段は優しいし天然なところもあってみんなを笑わせるのが山下さん。山下さんがいる限り東京女子プロレスは大丈夫だって思います」