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“掟破りの顔面蹴り”はオカダと清宮の大乱闘に発展…35年前、長州力vs前田日明の「顔面襲撃事件」を振り返って考える“スキャンダルの功罪”
posted2023/02/03 17:00
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
東京スポーツ新聞社
1月21日、横浜アリーナで行われた新日本プロレスvs.プロレスリング・ノア対抗戦、オカダ・カズチカ&真壁刀義vs.清宮海斗&稲村愛輝のタッグマッチで“事件”が起こった。
現IWGP世界ヘビー級王者オカダと、現GHCヘビー級王者の清宮。新日本、ノア両団体の“顔”である両者は、昨年の1.8横浜アリーナでの対抗戦(オカダ&棚橋弘至vs.武藤敬司&清宮)でも激突し、その時はオカダが完勝。敗れた清宮は号泣し、武藤の肩を借りて控室へと戻っていった。
新日本のトップとの格の差、力の差を見せつけられた清宮だったが、その後は7.16日本武道館で武藤を足4の字固めで破って念願の“武藤超え”を果たし、9.25愛知県体育館ではライバルの拳王を破り、ノアのトップの証であるGHCヘビー級王座も奪回。今回、堂々とノアのトップとしてオカダと勝負すべく1年ぶりに新日本マット再登場を果たした。
清宮の顔面蹴りに、オカダの額からは流血
しかしオカダはそんな清宮の意気込みに対し、あくまで“眼中にない”と見下した態度を取った。オカダが稲村をグラウンドでチンロックに捕らえたところで清宮がカットに入り背中にストンピングを落としてもオカダはこれを涼しい顔で受け流し、清宮のほうを振り返りもせず無視した。
すると清宮は、「おまえがそういう態度ならば、力ずくでも振り向かせてやろう」とばかりにストンピングをやめ、能面のような冷酷な顔で躊躇なく顔面を蹴り上げると、オカダの額は腫れ上がり、血が滴り落ちた。
“掟破り”にオカダは激昂…「ボイコット宣言」も
この“掟破り”とも言える攻撃には、さすがにオカダも冷静さを失い激昂。清宮を場外に叩き落とし、試合そっちのけで殴る蹴るの攻撃を加えると清宮もそれに応戦。真壁がオカダを落ち着かせようと引き離したところで、清宮はオカダの顔面にドロップキックを叩き込み、場外ジャーマンから藤田和之ばりのサッカーボールキックでさらに蹴り上げた。
結局、収拾がつかない展開に「ノーコンテスト」の裁定が下されたが、気持ちが収まらない清宮はマイクを握ると、「おい、オカダ! シングルで決着つけろ!」と一騎討ちを要求。オカダがそれを無視して控室に戻ろうとすると、「おまえ、ビビってんのか!? だったら帰れ!」とさらに挑発。新日本のファンから大ブーイングを浴びた。
この翌日、ノアは武藤の引退試合が行われる2.21東京ドームでオカダvs清宮のシングルマッチを発表したが、オカダは「やりません」「ボクの顔面を蹴ったから試合ができるほど安くない」と試合のボイコットを宣言。
清宮の顔面蹴り、そしてオカダのボイコット宣言は、ともにファンの賛否両論を呼んでおり、プロレス界のオールスターが揃う“祭り”である2.21東京ドーム大会が、一気に波乱含みの展開となってきた。