濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「プロレスはどんなパーティーより楽しい(笑)」元eggモデルの“大学生ギャルレスラー”小橋マリカはこうして誕生した《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byShiro Miyake
posted2023/02/02 17:01
中学生でデビューを果たし、大学受験を経て復帰した現在は“ギャルレスラー”として人気を集める小橋マリカ
高校生チャンピオンを経て、大学受験へ
そしてもう1人、沙希様とのシングルマッチがプロとして目覚めるはっきりとしたきっかけになった。DDTの赤井沙希に瓜二つの沙希様(様までがリングネーム)だが東京女子の選手とは敵対する立場だ。
「最初のシングルで、プロレスの“闘い”の部分を叩き込まれましたね。そこから“勝ちたい、勝たなきゃ”って本気で思うようになって。ジムでパーソナルトレーニングも受けるようになりました。高校生からジムの会員になれるというのもあって」
沙希様とそのチーム「NEO美威獅鬼軍」には何度も痛い目にあわされた。負けて負けて、その中でタフになったマリカは沙希様とアズサ・クリスティに勝ちタッグ王座を獲得する。パートナーは“筋肉アイドル”才木玲佳だった。
ただ“高校生チャンピオン”の時代は短期間で終わってしまった。負傷により欠場、タイトルを返上することになる。復帰を果たしたものの、しばらくするとまた欠場することになった。大学受験のためだ。周囲からも進学をすすめられた。東京女子プロレスが属するDDTグループには学生プロレス経験者、大卒のレスラーも多い。
「みんなが大学いったほうがいいっていうから、じゃあ行きたくないと思ってました(笑)。でも自分の人生を考えた時に、やっぱり行こうって。専門学校も考えたんですけど、調べてみると勉強で忙しいんですよね、目標がはっきりしてる分。プロレスを続けるためにも大学がよかった」
第一志望の大学に進学「復帰する時は変化した形で」
試合を休んで学業に専念。予備校にも通った。だが受験シーズンを迎える前、秋に推薦で進学が決まる。第一志望の大学だった。
「もともと成績も体育以外は5で、評定平均4.8。あとはTOEICの点数と面接でした。面接ではプロレスの話をして、盛り上がりましたね(笑)」
大学合格が2019年の秋。周りからは「すぐに復帰したら」と言われた。ファンも待っていたはずだ。しかしマリカは欠場を続ける。今度も天邪鬼かと思いきや、そうではなかった。
「欠場する時に“女子高生レスラーとしてはこれが最後”って言ったんです。だから大学生になってから復帰しようと。それに欠場したんだから、復帰する時は変化した形でって」
きつい練習生時代を乗り切った時もそうだったが、彼女は自分の言葉に責任を持つ、筋を通すといった気持ちが強いのかもしれない。
「あと、大学に受かってから入学するまでに青春を謳歌したいとも思ってました。それまで、平日は学校と練習。土日はプロレスの試合で遊ぶ時間もなくて。友だちも“どうせ忙しいから”って誘ってくれないんですよ。大学に受かって、初めて文化祭に出ました。あの時期に一生分、青春しましたね」