濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「プロレスはどんなパーティーより楽しい(笑)」元eggモデルの“大学生ギャルレスラー”小橋マリカはこうして誕生した《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byShiro Miyake
posted2023/02/02 17:01
中学生でデビューを果たし、大学受験を経て復帰した現在は“ギャルレスラー”として人気を集める小橋マリカ
大学生“ギャルレスラー”小橋マリカの誕生
プロレス復帰は2020年の10月だった。大学入学の春が、コロナ禍の始まりの時期。イベントも次々と中止になった。マリカは状況が落ち着くのを待って復帰。観客に新しいコスチュームを披露した。「念願の」黒も使った豹柄。“ギャルレスラー”小橋マリカの誕生だった。
「欠場して大人たちの監視の目がなくなったので、ファッションも自由に(笑)。それにギャルってファッションだけじゃなくて精神的なものでもあるんです。髪型にしても化粧にしても目立つけど、人の目を気にしない。やりたいことをポジティブに貫く。それがギャルマインドですね。仲間意識も強いです」
欠場中に雑誌『egg』の読者モデルにもなっていた。愛称は「こばまり」だ。
「eggのモデルのオーディションは優勝できなくて、専属モデルにはなれなかったんです。でも編集長が連絡をくれて読者モデルに。応募した理由? ギャルとしてトップになりたかった。その証がeggモデル。それにプロレスラーとしても何か肩書きがほしかったんです。“大学生レスラー”は普通だなと。“ギャルレスラー”もいいけど、そこにもう一つほしくて。“eggモデルレスラー”は他にいないじゃないですか」
復帰したマリカは“素”の自分でリングに上がるようになっていた。「試合で悪いこともできる」からファイトスタイルに幅ができ、自信がついたし試合が楽しかった。
その一方で、ギャルになった自分が団体のカラーに合わなくなっているような気もした。
「東京女子プロレスのみんなは今も変わらず大好きです。けどファンの人たちが求めてるのは黒髪のアイドルみたいな選手なのかなって。ギャルとしてとことんやるのは難しい気がしました。特に私は中学生の頃のイメージもあるので。物販(グッズ販売に伴うサイン会、撮影会)の売上も下がりましたね(笑)。中学時代はチェキの売上が1位だったんですけど、ギャルのチェキは売れないです(笑)。東京女子のファン層にはギャルはウケないんだろうなと思いましたね」
プロレス団体を退団ではなく“卒業”
昨年春、マリカは東京女子プロレスを卒業する。ずっと目標にしていた、留学の準備のためだ。大学のカリキュラムとしての留学だから、基準も厳しかった。
「これまで何回も欠場してきたので、今回また“留学するので欠場します”ではよくないなと思ったんです。そこはケジメとして」
東京女子プロレスは他団体との交流がほとんどなく、卒業イコール引退というイメージがある。他団体に移ったりフリーになる場合は「契約満了」、「退団」といった表現だ。
「私はプロレスをやめるつもりはなかった。留学先でオファーがあれば試合をしたかったですし。だから退団でと言ったんですけど、団体から“そんな決まりはないから卒業でいいよ。中学生の時から頑張ってくれたんだし”と言ってもらいました」