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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「単純に巨人って、練習しないから勝てないんだな、って」大久保博元コーチが明かす“デーブ流”の真意〈あの若手選手が覚醒する条件とは?〉
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2023/01/31 11:01
原辰徳監督の右腕として打者陣の再生に挑む大久保コーチ(左)
大久保 そういう骨格の人たちが力を伝えるには、大きく体を使わなければならないんです。ただ精度を高めるためには、なるべく小さく打ちたい。だとすると体に力をつけるしかない。そのためにはウエイトをやって、その上でいかにバットを振る力を養うか、ということになる。
――その振る力が巨人の若手には足りない?
大久保 4連敗した2019年と2020年の日本シリーズは分かりやすかったですよね。パ・リーグの投手は、中継ぎでもみんな150㎞以上の球速が出ちゃうわけだから、打てないですよね。あのスイングじゃ。で、速い球を打てないから慌てる。すると相手バッテリーに簡単に奥行きを作られる。前に出されて、崩されて……それじゃ勝てないよって……。
三振しても悔しそうに見えなかった選手たち
――一軍の主力でもそうだった……。
大久保 あと去年、負けた選手たちの姿を見て感じたのは、三振しても悔しそうに見えなかったことですね。練習していると悔しいはずなんです。これは僕の持論として。練習してなければ悔しくない。だから練習してないよ、と。
――秋季練習ではアーリーワークを取り入れてかなりの練習量をこなしました。
大久保 監督もバントは必ずやらせる方針だったのでバント、バスター、バスターエンドランと、犠牲心を持った組織的な打撃を必ず入れる練習になった。みんな真剣に取り組んでくれていた。秋季練習ではレギュラー陣もやった。監督のやりたい野球の準備のために、練習に入るにあたってはベテランを含めて選手と話し合って、分かり合って前に進みたい。それを分かれば“ユー”より“アイ”になるんです。「お前どうしたい?」じゃなくて「オレはこうしたい」という話し合いができる、いまはそういう選手が一杯いますね。
――具体的な若手の評価をお聞きしたい。まず期待の秋広優人外野手については?
大久保 秋広ってやばいくらいにカロリーを消費するんですよ。1日で6000kcalとかそれ以上のカロリー消費量なんです。普通なら2000から3000kcalなのに。それじゃ太れないですよね。だから中田翔がいまやってくれているように、それなら7000kcal食えよってことです」
――まず体作り、体力作り?
大久保 基本的には長くて重いものを持ったらボールは飛ぶわけです。もちろんバットを入れる角度とかもありますけど。秋広の場合は長さは持っているけど、重さが足りないんですよ。それがシーズン中に痩せちゃうから、ますます足りなくなる。その分の脂肪がないと143試合は持たないですよね。秋広は体が大きくなることがテーマだから、翔が自主トレで『12合をみんなで食うぞ!』とやってくれている。