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箱根駅伝“まさかのシード落ち”から1年…6位・早稲田大はいかに復活したのか? 監督のリアルな本音「他大学に比べて資金的な面できつい」
posted2023/01/11 17:04
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Yuki Suenaga
今年の箱根駅伝、予選会からの出場校で最上位だったのが6位の早稲田大学だ。
もっとも前回大会のシード落ちが“まさか”だったとも言えるが、1年でシード権をがっちりと取り戻した。
2区を終えた時点で14位と大きく出遅れながらも、3区を任されたエースの井川龍人(4年)が9人抜きの活躍で一気に5位までジャンプアップ。さらに6区では、2年ぶりの山下りを担った北村光(3年)が3位に浮上するなど、大きな見せ場を作った。
結局、1分30秒の間に3位から8位までがひしめくなか、6位でレースを終えたが、現状の力を十分に出すことができたと言っていいだろう。
「青山学院の岸本(大紀)君とか順天堂の西澤(侑真)君といった力のある選手に、最後はちょっとやられましたけど、選手には“強いチームに取りこぼしがあれば、3位から5位もあるよ”って話をしていました。そこにはちょっと届きませんでしたけど、最後まで競り合って、6位に行けたのは収穫だったと思います」
昨年6月からこのチームを率いる花田勝彦駅伝監督にとっては、7年ぶりの箱根路(上武大の監督だった2016年以来)だったが、上々の再スタートを切った。
昨年度の早稲田が抱えていた“脆さ”
昨年度までの早稲田も決して力がなかったわけではない。
実際に、全日本大学駅伝では上位争いに加わりシード権をきっちりと確保しているし、トラックでは多くの選手が、国内最高峰の大会である日本選手権に出場していた。
ただ、試合での出力が大きかったのか、その反動もあり、試合ごとに波が大きかった。
特に、1区間が20km超ある箱根駅伝ではごまかしがきかず、万全な状態で迎えられなかった前回は、1万m27分台という大学トップクラスの選手を3人も擁しながらも13位に終わっていた。
力は着実に付いているのに、目標レースで発揮できないことが度々ある――昨年度までの早稲田は、そんな脆さをも備えていた。
早稲田はたった1年でどうやって“復権”したのか?
今季、花田監督は1つのチームテーマを掲げた。