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「手のひら返しは当たり前」森保一“逆境でもブレない”語録「ドーハはリベンジの舞台だと思っていない」「選手のコメント力が素晴らしくて…」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byKoki Nagahama/JMPA
posted2022/12/17 11:04
カタールW杯で日本代表を率いる監督として、さまざまな言葉を残してきた森保一。その発言を改めて読み直すと…
W杯前に語ったのは「リベンジ」ではなく「チャレンジ」
●語録5
「(ドイツ戦に勝利して)歴史的な瞬間だと思いますし、我々日本のサッカーの発展を考えながら代表を強化している中で、世界で活躍する選手たちのことを考えると、サプライズになるという風に思っています。ドイツには今回、26人の日本代表選手のうち7人が1部に、そして1人が2部にいるということで、世界のトップの激しく厳しい、タフなリーグの中で日本人の選手が力をつけていると思います。そういった意味では、ドイツには非常に日本サッカーの選手を育てていただいているとともに、日本サッカーの発展を助けてくれているということはリスペクトして、感謝したいと思います」(ドイツ戦、試合後に)
ドイツ・ブンデスリーガと日本サッカーの発展は切っても切れない関係がある。その”育てて”くれたドイツに勝利したという複雑な状況に対し丁重な感謝を示した。現在は日本代表としてもドイツに拠点を構えたことで関係性はさらに深く続いていくだけに、怒らせるわけにはいかない?ということもないだろうが、常にドイツ組やドイツの国内事情を気にかけていることは伝わってくる。
●語録6
「私の現役時代でドーハの地はW杯への夢を叶えられなかった場所。私自身も悔しい、悲しい、思い入れのある場所と認識している。しかしリベンジとは思っていない。いま監督として、素晴らしい選手やスタッフ、サポーターとともに、カタールW杯で戦うことを楽しみにしている。経験したことは悲しいことであったが、ドーハの悲劇をドーハの歓喜に変えられるように。これから残された時間で最善の準備をして、カタールの地では選手たちに思い切ってプレーをしてもらい、みんなで喜び合えるようにしていきたい」(メンバー発表後のメッセージ)
前述の通り、ドーハの悲劇を経験した森保監督だが、リベンジとは思っていない、と明言。監督個人の「リベンジ」ではなくあくまで今回のこのチームの「チャレンジ」だとメッセージを発した。今の代表選手に日本サッカーの歴史を背負わせないという潔さにこそ、フェアさ、クリーンさを感じさせる。
こうして森保監督の言葉を振り返ってみると、硬軟ありつつも基本は人の良さが滲み出るものばかり。選手からの声も指揮官の人柄をたたえるものばかりだった。この人のためにならと選手が力を発揮できたとすれば、それは立派な功績のひとつだ。
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