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「手のひら返しは当たり前」森保一“逆境でもブレない”語録「ドーハはリベンジの舞台だと思っていない」「選手のコメント力が素晴らしくて…」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byKoki Nagahama/JMPA
posted2022/12/17 11:04
カタールW杯で日本代表を率いる監督として、さまざまな言葉を残してきた森保一。その発言を改めて読み直すと…
賞賛批判も含めて興味を持ってもらえるのは嬉しいこと
●語録3
「(クロアチアの印象は?)クロアチアに関しては私もいろいろな選手や指導者を知っていますけど、特にJリーグのサンフレッチェ広島で監督をやってたときにミキッチ選手と一緒に仕事をしてきて、彼とはすばらしい思い出ができたということで今の質問に答えたいと思いますし、彼からいろんな情報がもれないように……ということがあればいいなと(笑)。ジョークです。すいません」(同じくクロアチア戦前日の会見で)
広島時代に監督と選手の間柄だったミキッチについて語る森保監督。ミキッチには当然クロアチア国内外から日本情報を求められるだろう、と発したコメントだ。だが、このコメントで特筆すべきは頭をかきながら付け加えた最後の二言。ジョークです。すいません。ジョークだと言う必要もないし、すいませんと謝る必要もないのに。吉田麻也が「間違いなく一番尊敬できる監督」と評するほど、やっぱりいい人なんだよなと思わせられる。
●語録4
「(ドイツに勝って賞賛され、コスタリカに負けて批判が集中したことについて)手のひら返しは勝負の世界ですので当たり前だと思ってる。できれば批判されたくないが、賞賛批判も含めて国民のみなさんにサッカーに興味をもってもらい、認識して議論してもらえれば嬉しいと思うだけ。日本のみなさんの日常生活によりそって見てもらえるスポーツで、議論も見方も自由にしていただければ。自分の思いをぶつけてもらえるのなら、よろこんでいただくのもストレスをぶつけられてもすべてが嬉しい」(スペイン戦前日会見より)
SNS時代になり批判や更に酷い言葉の数々も本人たちにリアルタイムに届く時代になった。だが、森保監督はどのような反応であれ嬉しいと、厳しい大一番であるスペイン戦を前に明言した。今大会中、批判に腹を立て、それを口にする選手も多い中で最も寛容で力強い言葉を残したのは監督だった。日本サッカーがまだW杯に出られず、ここまでの注目も浴びていない時代に現役時代を過ごした一方、ドーハの悲劇にいたるまでの熱狂も経験している森保監督。今大会に向けた予選も初戦で敗れるなど苦難の道が続き批判も浴びた。無関心も、批判も、そして賞賛も経験しているからこその頼もしい言葉だった。