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「ジャッジが(大谷翔平を)一歩リード」NHK解説者・小早川毅彦が語るMVP争い“逆転の条件”…ジャッジが“打ちまくる理由”も分析
text by
小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byNanae Suzuki
posted2022/09/18 06:01
熾烈を極める大谷翔平VSアーロン・ジャッジのMVP争い。NHK解説者・小早川毅彦氏にMVPの展望や、両スラッガーの共通点、違いを聞いた
大谷とジャッジの「共通点と違い」
体が開いてしまうと、顔もその分動いてボールを捉えづらくなるし、アウトコースに逃げる変化球に対して対応しにくくなりますからね。ボールの内側を捉えようとすると、腕が縮こまってしまうイメージもありますが、ジャッジはそうならないよう体の前でしっかりとボールを捉えている。さらに相手投手によって打席に立つ位置を変えるなど工夫しながら、自分の打撃の形をしっかりと持ち続けていることが分かります。
この「ボールの内側を捉える」という意識は、大谷も強く持ち続けている点だと思います。左右の違いはありますが、右打者のジャッジが左肩を開かないようにしているのに対し、左打者の大谷は右肩や右腰を開かないようにと常に意識している。二人の打撃理論は似ている部分があると言えます。自分の形で捉えて角度さえついていれば、どの方向でもホームランにできるというのも大谷、ジャッジに共通した部分ですね。
逆に二人の一番の違いと言えば、ベルト位置より高い速球への対応でしょうか。ジャッジがこれを全く苦にしていないのに対して、今シーズンの大谷は少し苦しんでいるのが伝わってきます。ジャッジより大谷の方が少しアッパースイング気味でバットの軌道が下から出る分、対応がわずかに遅れてしまうんです。その角度も、昨シーズンに比べて少し急でカチ上げ気味になっているために、余計難しくなっている。15日現在、大谷の.265に対して、ジャッジが.310と打率が高いことも、このあたりの差が出ているのかもしれません。