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カープ名捕手・達川光男が明かす“あの伝説の真相”「“ささやいた”ことは神に誓って、ない!」「昔はハードレンズだったからね」 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byBUNGEISHUNJU

posted2022/08/30 17:26

カープ名捕手・達川光男が明かす“あの伝説の真相”「“ささやいた”ことは神に誓って、ない!」「昔はハードレンズだったからね」<Number Web> photograph by BUNGEISHUNJU

デッドボール、ささやき戦術、コンタクトレンズ大捜索……。野球解説者・達川光男が語る“伝説の真相”とは(写真は2015年)

――やはり「珍プレー」のイメージで損していることもあるのですね。

「当たってないのに出たこともあるけどね。当たっても出してもらえなかったこともいっぱいある。そう考えると、行って来いでトントンくらいか(笑)。もしデッドボールに“リクエスト”があったら大変なことだよ」

――やはり塁に出たいという強い気持ちがそうさせた。

「そうだよ。言い方は悪いんだけどまあ、何でもタイミングでね。デッドボールでも何でも塁に出たいという純粋な気持ちでやっていたから。じゃないとワシらクラスでは逃げていたら勝負にならんよ。(内角にも)めっちゃ踏み込んでいったからね」

現代野球で死球が増えた理由

「珍プレー」の影響か1970~1990年代のプロ野球は死球が多かったような印象があるが、実際は逆だ。例えば達川氏が現役時代に全試合出場を果たした1987年のセ・リーグの死球数は計125。一方で、2010年は2.5倍以上の計362に上るなど、2000年代は毎年、300前後を記録している。年間試合数が10試合ほど増えていることを割り引いても、現代の野球の方が死球数は倍増しているのだ。

「それはね、道具の進化だよ。エルボーガードとかすね当てとか、今の選手は鎧兜のように色々と防具をつけとるでしょ。当たっても痛くもかゆくもない。ヘルメットなんかも、昔はただの帽子よ。今の道具の性能は、昔とは比べものにならない。軽くて、丈夫で吸収性もある。だからあれだけ踏み込めるし、その分デッドボールも多くなる」

――手首やヒジ、すねなど、ガードがなかった時代に踏み込んでいくのは勇気がいったのでは?

「手首やヒジにあたったら100%折れるからね。そりゃあ怖いよ。でも踏み込むために鍛えていたからね。余談だけどね、山本浩二さんはキャンプの初日に、宿舎の横の体育館で夜間練習をしていたんよ。テニスボールを自分の顔めがけて投げてくれ、って。それで避ける練習をしていた。これは本当の話よ。自分を守るためだからね。絶対当たらん、という保証があって踏み込んだら4割打てるって落合(博満)さんも山本浩二さんも言っていた。まさに不進不存。道具の進化というのは大きいんだよ」

【次ページ】 コンタクトレンズをめぐる“駆け引き”

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