高橋藍のカラフルデイズBACK NUMBER
バレー代表・高橋藍(20歳)が実感する“世界のトップに近づいている”という確信…世界選手権は「結果を残して帰ってきます」
text by
高橋藍Ran Takahashi
photograph byFIVB
posted2022/08/25 11:00
5位で終えたネーションズリーグの手応えと、まもなく始まる世界選手権への意気込みを語った高橋藍。9月2日に21歳の誕生日を迎える
たとえば、その象徴はサーブ力。日本には石川(祐希)選手、西田(有志)選手というビッグサーバーがいて、効果的なハイブリッドサーブが打てる関田(誠大)選手もいる。僕もいかに相手を崩せるサーブが打てるかを考え、練習を重ね、手ごたえも感じています。
現代のバレーボールにおいてサーブは勝敗を決める重要な要素であり、サーブで主導権を握ることができればディフェンス力のある日本のブレイク率も上がり、それだけ勝利に近づく。チームとしての総合力、個々の能力が確実に上がっているので世界で互角に戦える。
そして、その自信を裏付けてくれるのが日本はもちろん、世界各国で男子バレー日本代表のバレーを「面白い」と感じて応援してくれるたくさんの方がいることです。これまでのバレーボールは女性のスポーツという見方が比較的強く、特に日本では「女子バレーはラリーが続くから面白いけれど、男子バレーは打ったら決まってしまうから面白くない」という声も聞きました。
今はディフェンス力も向上し、何より今や日本の武器でもあるフェイクセットからの攻撃が象徴するように、試合で石川選手が見せるプレーは単純に「面白い」と魅了するし、盛り上がる。極端に言えば「フェイクセットを見に来た」という人もいると思うし、そこからバレーボールに興味を持ってもらえるのはとても嬉しいことです。
紅白戦「沖縄を満喫しました(笑)」
有観客で行われたネーションズリーグの後、7月30、31日には沖縄で日本代表の紅白戦が行われました。
ネーションズリーグのファイナルラウンドを終えてからすぐの開催で、疲労がたまっていたこともあり、少し休みがほしいと思ったのは事実です。何より、たくさんのお客さんに来ていただく中でプレーすれば、いいところを見せたいと力が入りすぎて思わぬケガをすることもある。それが選手としては一番怖いことなので、始まる前はいろいろな意見もありました。
でも、開催が決定され、この紅白戦をとても楽しみに沖縄へ来て下さった方々もいるだろうし、何より沖縄でバレーボールが開催できること自体めったにないこと。少しでも楽しんでほしいと思ったし、僕自身も、試合とはいえ夏の沖縄に行けることが嬉しくて、ついてすぐにソーキそばを食べに行ったり、朝は海を散歩して、夜は砂浜でヤドカリを探したり、だいぶ満喫しました(笑)。
大竹に仕掛けた“いたずら”
もちろん自分たちだけでなく、来て下さった方々、配信を見て下さる方にもいかに楽しんでもらうか。“見せ方”も考えて、少し工夫しました。
選手入場の際も初日は各々が考えたポーズやアクションでコートに入ったのですが、2日目はさらに違うこともしてみたい、と思いついてしまった。1日目を終えた夜、マネージャーさんに「明日はもっといろいろなところから入りたいです」と僕がムチャぶりをして(笑)、さまざまな入場口や客席から登場させてもらっただけでなく、試合前のウォーミングアップ時も1ついたずらを仕掛けました。
ボールを使う練習前、コートでストレッチをしたり、サッカーをしたり、思い思いの過ごし方をする中、大竹壱青選手が入場してきました。まだバレーボール会場は声を出す応援ができないので、選手が入る時は観客の皆さんが拍手で迎えてくれる。そこに僕も便乗して、大竹選手が入ってきた時に観客の方々へ向けて大きな拍手を求めたら、みなさんが乗ってくれて、まるでスーパースターのような入場シーンを演出できた。大竹選手は恥ずかしそうでしたが、僕からすればしてやったり(笑)。
このワンシーンだけでも、今の男子バレー日本代表が年齢問わず、上下関係なくみんなが仲良く、いい雰囲気でまとまっていることが伝わったのではないでしょうか。