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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「ディズニーランドへ行きたい娘のためにも仕事もしなきゃ(笑)」荒木絵里香が“大学院の課題”に追われながらバレーボール界のために動く理由
posted2022/08/23 11:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Kiichi Matsumoto
五輪に4度出場しているだけでなく、メダリストでもある。
輝かしい実績は、バレーボールをよく知らないという人にも十分届きやすい。加えて、荒木絵里香は現役中に結婚、出産を経て、再び日本代表に復帰して2度五輪の舞台に立った。
そのせいか、現役時代の終盤は“母”や“ママ”として取り上げられる機会が圧倒的に多かった。
自分というフィルターを通して広い層へバレーボールが届けられるきっかけになるならば、それはそれで嬉しい。だが、喉元の小骨のように少々引っかかる思いもあった。
「私はたまたまスポーツ選手だっただけ」
「母・荒木絵里香。自分はどんな風に取り上げられても引っ張られることはなかったですけど、うんざりしていた人もいたんじゃないかな、と考えたこともありましたね。でもスポーツに興味がない人、それこそ世間のお母さんたちからすれば“母”の部分が取り上げられることで興味を持ってもらえるかもしれない。一概に否定するのも違うと思うけれど、難しいですよね。
そもそも私も娘はいるけれど、世の中で普通に働いて子育てをしているお母さんたちのほうがよっぽどすごいのに、たまたまこういう立場だからというだけで母としてばかり取り上げられるのはちょっと複雑でもありました」
たまたま自分はこういう人生だっただけ。事あるごとに荒木は言う。結婚する、しない。出産する、しない。仕事をする、しない。自分がしたい選択ができる世の中であるのが一番だ、と。
「娘を通していろいろな人と知り合えて、余計に思いますね。ママ友はそれほど多くないけれど、フルタイムで働きながらお弁当をつくって送り出すお母さんもすごい。専業主婦だってすごいし、仕事をバリバリしながら毎日自分で時間をコントロールしている人だってすごい。
いろいろな形があって、みんな何かしらを選択した結果今があるし、もしかしたら選ぶことができず、結果的にそれしかなかった、という人もいるかもしれないけれど、何かが特別ですごい、というのはないですよね。ホント、みんなすごい。私はたまたまスポーツ選手でしたけど、出産後は(自身の)母親のサポートがなければありえなかったですから」