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「本当、牧さまさまです!」牧秀悟と同期ドラ1、DeNA入江大生23歳が昨季リハビリ中に考えていた「大事なのは、目に見えるようなレベルアップ」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2022/08/15 11:01
5月、プロ初勝利を挙げ、牧秀悟(右)とお立ち台に上がった入江。本人にリハビリ中と今季の活躍、そして牧について聞くと…
「いい経験も悪い経験もすべてプラスになっています。昨年は4試合しか投げていないので、今年が実質1年目。抑えても打たれてもすべて経験というか、一番は同じミスを繰り返さないこと。ただ、もし同じミスをしてもその後どうするか。考え方の幅が広がったことが、防御率の向上に繋がっていると思います」
入江の好投の影には、明治大学の大先輩でもある木塚敦志投手コーチの手厚いサポートもあった。春季キャンプ後半に三浦大輔監督からリリーフでの起用を言い渡された入江は、先発時代とは違うピッチング構成を木塚コーチと話し合った。
「木塚コーチからは『目指すならば上を目指してほしい』と言われました。試合が終わるたびに『このピッチングはこうだったけど、お前はどう思う?』と、親切に振り返らせてもらえますし、ときには熱く語ってくれて寄り添ってくれる。僕はそれをメモに取り、次に生かす。その繰り返しですね」
最初はきわどいところに投げていた。けど今は…
今季はストレートを中心にフォーク、スライダーといった組み立て。先発時代に使っていたツーシームはほぼ投げなくなった。何より制球が良くなったことが、安心をして見ていられる要因になっている。
「先発時代はランナーをためて打たれるのが嫌でフォアボールを少なくしようというピッチングをしていました。リリーフになり、最初は1イニング抑えればいいのだろうと、きわどいところに投げていて、結果フォアボールを出してしまっていた。それだと結局ピッチングを難しくしてしまいます。けど今はストライクゾーンでファールを取り、さらに縦変化や高めのインコースの真っすぐで勝負ができ、フォアボールが減ってきた。空振りも取れていますし、これは、いい傾向だと思いますね」
入江は「理想は1球で仕留めること」と語るが、奪三振率は10.45とクリスキーに次ぐチームトップクラスの数字を残している。ここぞというときにパワーでねじ込めるリリーバーとしての資質。これを支えているのが切れのあるストレートだ。昨年は先発ということもあり最速151キロだったが、今季は158キロと飛躍的に球速を向上させている。
リハビリ中に考えていたこと
昨年末、リハビリをしていた入江に話を訊いたとき「投げられないときになにができるのか?」を突き詰めて考えていると語っていたが、あの苦しい時間が、制球力と球速アップに確実に繋がっているという。