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藤井聡太“10代で9期連続栄冠”は大記録 「人生を変えてくれた一人が藤井さん」盟友・永瀬拓矢相手の棋聖防衛…流れを変えた妙手とは
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by日本将棋連盟
posted2022/07/22 11:04
藤井聡太と永瀬拓矢の棋聖戦は見どころが多かった
藤井は2年前の棋聖戦で渡辺明棋聖に挑戦して初タイトルを獲得して以来、タイトル戦で奪取と防衛を重ねていて、10代での9期連続の栄冠はすごい記録だ。
藤井将棋のすごみを象徴する銀捨ての寄せの妙手
棋聖3連覇の2日後の7月19日。藤井は20歳の誕生日を迎えた。師匠の杉本は、体調維持のために低周波のマッサージ器具をお祝いに贈ったという。
藤井の20代最初の対局は、豊島将之九段の挑戦を受けている王位戦七番勝負第3局。4月20・21日に兵庫県で行われ、藤井が勝って2勝1敗と勝ち越している。
1図は、棋聖戦第2局の終盤の部分図(下側の▲が永瀬、上側の△が藤井)。
藤井が打った△9七銀が寄せの妙手だった。次に△6七桂不成以下の順で詰む。▲同桂か▲同香と取らせれば、永瀬の玉が8八~9七~8六のルートで上部に逃げる順を防いでいる。
棋書で解説される退路封鎖の手筋で、それほど奇異な手ではない。
しかし、自玉が危険な形にさらされ、残り時間が2分と迫っている状況で、藤井は△9七銀をいつ読んでいたのかと、棋士たちは驚いていた。一方の永瀬は、まったく見えてなかったという。
2図は、1図以降の変化局面。△4八歩と打って飛車の横利きを止めてから△7ハ金と打てば、以下は▲同玉△6七歩成▲8九玉△7八金▲9八玉△8九銀でぴったり詰み。
藤井の将棋には、「銀」の妙手が多い。いずれ改めて紹介する。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。