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[ビッグボスの回顧]川淵三郎「20年でできたこと、できなかったこと」
posted2022/07/02 07:00
text by
金子達仁Tatsuhito Kaneko
photograph by
Naoya Sanuki
長年、日本サッカー界を牽引してきた男は、自国開催のW杯から20年の節目に何を思うのか。85歳の初代チェアマンは今もなお変革を恐れず、後進たちに自由な発想を求め続けていた。
明治維新の立役者の一人、坂本龍馬は自らが切り開いた新たな時代の行く末を見ることなく、この世を去った。
この傑人なくして後の日本はなかったと多くの人が認め、海援隊時代の龍馬を支えた後の外相陸奥宗光は、「龍馬が生きていればかくも醜悪な日本にはならなかった」と語ったとされる。
もし、坂本龍馬が幕末期を生き延びていたら、明治という時代は、その後の日本は、どのように見えていたのだろう――。川淵三郎に初めてインタビューをすることが決まって、まず思ったのは、そういうことだった。
'93年のJリーグ発足、そして'02年の日韓共催によるワールドカップは、日本サッカー、日本スポーツ界のみならず、日本社会、ひいてはアジア、全世界にまで影響を波及させた、空前の大事業だった。
だが、日本を大きく発展させた明治維新にも暗い側面があったように、Jリーグもまた、完璧なリーグではない。ワールドカップも同じだろう。当事者として関わり、龍馬とは違い、その後の推移もよく知る川淵は、令和4年の日本サッカーを、いかなる思いで見守っているのか。
明治30年の坂本龍馬にインタビューをする心持ちで、わたしは日本サッカー協会へと向かった。
「ま、坂本龍馬と違って、何とか長生きはしてるわな」