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“最強の交代カード”三笘薫もミリタンに封じられ… ブラジル戦に見た「はるか彼方の1点差」を森保ジャパンは埋められるのか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Kaneko/JMPA
posted2022/06/07 17:10
途中出場の三笘薫はレアル・マドリーのエデル・ミリタンとマッチアップ。得意のドリブルを仕掛けたが、ミリタンは巧みに体を入れて突破を許さなかった
指揮官が話すように、世界のトップ・オブ・トップとの遭遇は最高の刺激だ。レベルアップを促すだろう。
問題は時間である。
カタールW杯までに残されたテストマッチは、4試合に限られる。10日のガーナ戦と14日のチュニジアまたはチリ戦、それに9月の2試合だ。時間は限られている。W杯までに、個々のレベルアップがどこまで進むか。目に見える変化は望めないだろう。
攻撃の最終局面で問われるのは「個」の力だ。CKやFKから得点を奪うことはできるが、リスタートを獲得するにはクリアに逃げる、反則で止める、といった選択肢を守備側に取らせなければならない。「個」によるアクションは必須だ。
伊東や三笘といった「個」を生かすには、彼らが強みを発揮できる状況を整えることが必要だろう。フリーランニングで追い越したり、サポートに入ったりすることで──伊東や三笘の選択肢を増やすことで、守備側の意識を分散させるのだ。
鎌田大地のIH起用がカギに?
ウイングへのボールの供給を考えると、鎌田大地は興味深い存在である。パラグアイ戦で昨年10月以来の出場を果たし、1得点1アシストを記録した彼は、ブラジル戦では後半開始からピッチに立った。パラグアイ戦と同様にインサイドハーフを任され、相手のプレッシャーを受けても前へ運んでいく意識をプレーで表現していた。
ブラジルを相手にしても、日本は自陣からビルドアップをしていった。前からハメられるとボールを下げたくなるものだが、鎌田は簡単に下げない。彼がインサイドハーフに入ることで、ウイングにいい状態でボールを供給できる。三笘が3度目の勝負を仕掛けた87分の場面でも、中盤でボールを受けた鎌田がふたりに寄せられながら柴崎岳へつなぎ、柴崎が三笘へ展開したのだった。
ドイツやスペインとの対戦は、ブラジル戦に似た構図になると予想される。自陣に押し止められる時間が長くなるだろう。攻撃のスタート地点は低くなるが、そのなかで伊東や三笘を生かすのだ。彼らが「個」の力を発揮できる局面をいかに作り出すのかが、ここから先の大きなテーマとなる。
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