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“最強の交代カード”三笘薫もミリタンに封じられ… ブラジル戦に見た「はるか彼方の1点差」を森保ジャパンは埋められるのか?
posted2022/06/07 17:10
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Takuya Kaneko/JMPA
はるか彼方の1点差、とでも言えばいいだろうか。
6月6日に行なわれたブラジル戦は、0対1の敗戦となった。スコアのうえでは惜敗である。ブラジルの得点はPKで、流れのなかでは失点していない。
しかし、公式記録に残された数字は歴然とした実力差を浮き彫りにする。ブラジルに18本のシュートを浴びたのに対して、日本はわずか4本に終わっている。
アジアでは「止められない存在」だった伊東純也が…
11月開幕のカタールW杯を見据えると、大きな課題を突きつけられた一戦である。アジア最終予選で勝利を引き寄せた「個」が、ブラジルに封じられたのだ。
最終予選で攻撃を牽引した伊東純也は、ギジェルメ・アラーナとのマッチアップで優位に立てなかった。ブラジルのコーチを務める元Jリーガーのセザール・サンパイオは、前日会見で伊東を「1対1に強くてスピードがある」と評していた。警戒されていたのは間違いない。
しかし、スカウティングされるのは最終予選と同じで、アジアでは「分かっていても止められない」存在だった彼が、ブラジルには封じられてしまった。右サイドの伊東が相手守備陣を崩し、南野拓実や古橋亨梧のフィニッシュワークで仕留める、というのがこの日もっとも期待された攻め筋だったが、背番号10はシュートゼロに終わっている。ほぼ1年ぶりの先発となった古橋も、後半開始早々にミドルシュートを放つだけに終わった。
右ウイングの伊東も、前半から守備に引っ張られていた。攻撃にパワーを注げなかったところはある。この日の日本はペナルティエリア内でのシュートブロックが多く、攻撃のスタートラインは押し並べて低かった。
そのなかで、伊東はどこでパスを受けていたか。スピードに乗った状態で仕掛けられる場面は、ほぼ見られなかったと言っていい。
その一方で、伊東と対峙するアラーナが準備不足で1対1に臨むことはなかった。マッチアップする以前の段階で、日本の背番号14は劣勢に立たされていたのである。