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“ZOZOマリン→ドーム球場”で奪三振が半分に!? ロッテ佐々木朗希の巨人戦「5失点降板」で見えた意外な伸び代とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/06/05 11:04
巨人・岡本和真(右)に今季初ホームランを打たれたロッテ・佐々木朗希
この日のフォークはあまり落ちていなかった。
完全試合を達成したオリックス戦や“完全未遂”となった日本ハム戦で見せた速くて落差の大きいフォークは、相手打者もほぼ手がつけられない。しかしこの日のフォークには、それほどまでの威力を感じなかったし、実際に落ちも悪かったのである。
そこには以前から指摘されている球場の問題があるように思う。
本拠地・ZOZOマリンスタジアムでは、センターからホーム方向への強風がスタンドに当たって跳ね返ってくる。投手にとってはアゲインストになる訳だ。だからZOZOマリンでは変化球が切れる、と言うのが定説となっている。一方他球場、特に無風のドーム球場では変化球、特に佐々木の場合はフォークの落ちがZOZOマリンほどではなくなる。球場の影響が、佐々木にはモロに出ている可能性が考えられるのだ。
ZOZOマリンとドーム球場では数字が違う
数字的にも違いは明確である。
巨人戦までの佐々木の今季10登板で、ZOZOマリンでの先発は半分の5試合。あの完全試合と“完全未遂”があるのだから、数字が良くなるのは当たり前といえば当たり前だが、ZOZOマリンの佐々木は37回を投げて125人の打者から64個の三振を奪い失点、自責点はわずかに2という完璧な内容なのである。
一方、京セラドーム大阪で2試合、PayPayドームと東京ドーム各1試合のドーム4試合(他の1試合は屋外の楽天生命パーク)では、合計23回を投げて98打者に24安打で26奪三振と三振数は半分以下に留まっている。結果として1試合少ない試合数で9失点(自責点8)と数字は如実に悪くなっているのだ。
その背景にあるのがZOZOマリンと他のドーム球場でのフォークボールの切れの差にあると考えられる。体調を含むコンディションの問題やその他の要素もあるかもしれないが、巨人戦の敗因には、本人も「全体的に配球だったり、フォークボールの質だったり……」と認めるようにフォークの落ちが悪かったことがあるのも明らかだ。
本人もその点は自覚している部分だったのである。
もちろんそれでも佐々木を攻略するのはそう容易ではない。ドーム球場でも完全に攻略されたのはこの巨人戦が初めてで、過去の3試合中2試合ではクオリティースタートを達成して先発の役割は十分に果たしてきている。
ただ今後を見据えた上では、やはりこの日のピッチングで課題も見えてきた。