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“ZOZOマリン→ドーム球場”で奪三振が半分に!? ロッテ佐々木朗希の巨人戦「5失点降板」で見えた意外な伸び代とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/06/05 11:04
巨人・岡本和真(右)に今季初ホームランを打たれたロッテ・佐々木朗希
これは巨人戦の前から評論家の堀内恒夫さんがスポーツ報知紙面で書いていたことで、5月27日の阪神戦の投球から「佐々木朗はクイックが苦手なようで、足を上げてから投げるまでに時間がかかる。阪神戦ではクイックを速くしようとしたのだろう。その結果、足が先に動いて腕が遅れ、ボールが再三抜けた」と指摘している。
走者を出して動くことは、走者が塁をすすめるだけに止まらない。走った後の佐々木のピッチングにも影響を与える。
3回には先頭のアダム・ウォーカー外野手が出塁。1死から岡本の初球に二盗を決めて揺さぶり、直後に岡本が抜け気味のフォークを叩いて2ランを放った。
5回には無死から3番の吉川尚輝内野手が中前安打で出ると、岡本の2球目に二盗、さらに1死後には5番のグレゴリー・ポランコ外野手の初球に三盗も決めてポランコのタイムリー二塁打へとつなげている。
巨人・原監督「今日はうまい具合にね。繋がりました」
「いやもうなかなかね、今日はうまい具合にね。繋がりました。色んな意味でつながりましたね」
試合後の巨人・原辰徳監督が評したように、佐々木朗希攻略というワンテーマの元に、打線がしっかり線となったことが巨人サイドから見た一番のポイントだったのである。
それではもう1つの視点でこの試合を見たらどうなるのか?
佐々木の側からの視点である。
佐々木がこの試合で許した8本の安打で1回のウォーカーと2回の増田、4回の丸佳浩外野手、5回の吉川の4本が真っ直ぐを打たれたものだった。ウォーカーと丸はいずれも初球で、残りの2本もカウント球として使ったストレートを叩かれたものである。これは前述したように巨人が狙い通りにカウント球をコンパクトに振り抜いていた結果だった。
一方、2回のポランコに3回のウォーカーと岡本にはフォークを打たれている。ポランコとウォーカーはいずれも2ストライク0ボールと追い込んで、決めにいったフォークだった。また岡本は逆に2ボールとなって空振りを取りにいったフォークで、いずれも絶好調時の落差が無く、棒球気味に入ってしまった。打者にとっては打ちごろの、好球だったのが気になる。