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“ZOZOマリン→ドーム球場”で奪三振が半分に!? ロッテ佐々木朗希の巨人戦「5失点降板」で見えた意外な伸び代とは
posted2022/06/05 11:04
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kiichi Matsumoto
令和の怪物もやはり人の子だった。
ロッテの佐々木朗希投手が6月3日の巨人戦で、今季初黒星を喫した。被安打8。3回には巨人の4番・岡本和真内野手に右中間に今季初被弾となる2ランを浴び、ワーストの5失点(自責点は4)を記録。5回89球を投げ終わったところでマウンドを降りた。
「結果の通り……。いい打者が多い中で失投が多かったかなと思います」
試合後にこう自分の投球を振り返った佐々木だったが、この日はむしろチーム全体で佐々木攻略に挑んだ巨人が見事だったという印象の試合だった。
佐々木の数少ない欠点であるクイック投法を突いた
佐々木の基本的な投球パターンは150km台後半から160km台のストレートで空振りやファウルをとってカウントを作り、最後はフォークを落として打者を打ち取っていくというものだ。追い込まれてから速くて落差の大きいフォークを打つのはかなり難しい。そこで巨人打線はカウントを取りにくる真っ直ぐに狙いを絞って、コンパクトに振り抜くことで佐々木に対応しようとした。当たり前といえば当たり前だが、そこを打線として徹底できたことが攻略のポイントだったはずである。
2回に161kmのストレートを叩いて右中間に先制タイムリー二塁打を放った増田陸内野手は、バットを短く持って鋭く振り抜いた。次打者の7番・中山礼都内野手も真っ直ぐにタイミングを合わせてショートスイングを徹底することで、高めのボールを何とかファウルして粘って8球を投げさせて四球で出塁。4回にも同じように粘って佐々木に9球投げさせ敵失で出塁。そこから4点目のホームを踏んだ。
こういう下位打線の徹底した意識は、結果的には中心打者による佐々木攻略にもつながるものだ。
そしてもう1つは佐々木の数少ない欠点であるクイック投法を突く、機動力の活用だった。