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ソダシが見せた「アーモンドアイ、グランアレグリアに匹敵する圧勝劇」 “気難しいアイドル”が好走できた2つの理由《ヴィクトリアマイル》
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2022/05/16 12:05
5月15日のヴィクトリアマイルにて、豪快に抜け出し勝利したソダシと吉田隼人
ソダシ好走を生んだ“2つの理由”
マイル戦は、一昨年のアルテミスステークス、阪神ジュベナイルフィリーズ、そして昨年の桜花賞につづいて4戦4勝。ダートのマイルだったフェブラリーステークスでも3着と好走したように、ワンターンのマイルだと、集中力を切らすことなく、力を発揮しやすいのだろう。
もうひとつの勝因は、パドックでも返し馬でも落ちついていたことだ。陣営がリラックスした精神状態に仕上げてきた。
ピリピリしすぎると、待機所から出ようとせず、ゲート入りを拒んだ秋華賞のときのように、戦う前に終わってしまう難しいところのある馬だ。
今回もゲート入りを嫌がる素振りを見せたが、少しだけだった。ストレスをかけすぎず、かつ、ある程度やる気になるよう、1週前追い切りは単走でウッドチップコースを走らせ、当該週の追い切りは坂路コースで併せ馬にするなど工夫してきた。それが奏効し、素晴らしいパフォーマンスにつながった。
今後は、安田記念には向かわず、放牧に出される模様。秋はマイルチャンピオンシップを目指すことになるようだ。
デアリングタクトは次戦での変わり身に期待
2着は3番人気のファインルージュだった。直線で外に出てきた前の馬に触れて躓く不利があったが、内に進路を切り換えて鋭く伸びてきた。桜花賞3着、秋華賞2着の力は本物だった。
3着のレシステンシアは、キャリアを重ねるにつれ、適性としてはスプリンター寄りになっているのだが、中間、ビッシリ攻めてきた状態のよさが生かされた。
デアリングタクトは、1年以上の休み明けでありながら、ソダシからコンマ5秒差、2~5着馬からはコンマ2秒差の6着。さすが無敗の牝馬三冠馬という走りを見せた。休養前はいつもパドックで入れ込んでいたのだが、今回はゆったりと歩いていた。
プラス22kgの馬体重が示すように、全体に緩さのある体だったが、ここを使っての変わり身に期待したい。ひとつ叩いての変わり身は、一流馬ほど大きい――と、ダイワスカーレットなどを育てた「マツクニ先生」こと松田国英元調教師も話していた。次が楽しみだ。