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《天皇賞・春》タイトルホルダー圧勝劇の裏にあった“2つの勝負の分かれ目”とは? 凱旋門賞出走なら「欧州勢は手の施しようがないのでは」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/05/02 12:00
天皇賞・春(GI)を7馬身差で制したタイトルホルダーと横山和生
4年連続の“菊花賞馬による勝利”
7馬身差以上でこのレースを勝ったのは、典弘のイングランディーレによる04年以来、18年ぶり4回目のことだった。
横山は今年デビュー12年目の29歳。GIは12回目の騎乗で初勝利。5歳(6学年)下で、エフフォーリアの主戦騎手として知られる弟の武史にGI勝ちでは先を越されていたが、兄の面目を保った。
終わってみれば、出走馬中唯一のGIホースだったタイトルホルダーの圧勝だった。序盤は淀みないペースで逃げ、上がり最速の末脚でまとめてしまうのだから、後続はたまったものではない。
菊花賞馬による勝利は、2019年から4年連続となった。
栗田調教師は「レース後の馬の状態を見ないとわからないし、今後オーナーと相談してから」と話しているが、6月26日の宝塚記念を視野に入れつつ、10月2日の凱旋門賞にも登録しているだけに、夢がひろがる。
凱旋門賞、欧州勢は手の施しようがないのではないか
これで11戦5勝。5勝すべてが逃げ切りだ。
フランスではスローペースで最後の瞬発力勝負になるレースが多い。中・長距離では、すべての馬が「5番手の内」を取りたがるような流れで、日本のように、強い逃げ馬が現れづらい。ビッグレースに出てくる逃げ馬というと、追い込み脚質の有力馬の陣営が、流れを速くするために出してくるペースメーカーがほとんどだ。
そんな競馬だけに、タイトルホルダーのように、ペースメーカー級のラップを踏んでも最後まで伸びる強力な逃げ馬が参戦すると、欧州勢としては、手の施しようがないのではないか。
なお、カラ馬のシルヴァーソニックはゴール後、外埒を跳び越えて転倒し心配されたが、落馬した川田将雅とともに異状なしとJRAから発表された。
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