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「藤井殿…に、人間将棋は初めてではないのか?」 棋士が驚き、ファンが喜ぶ“藤井聡太竜王のスター性”を観る将マンガ家が間近で見た 

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千田純生

千田純生JUNSEI CHIDA

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photograph byJunsei Chida

posted2022/04/25 17:02

「藤井殿…に、人間将棋は初めてではないのか?」 棋士が驚き、ファンが喜ぶ“藤井聡太竜王のスター性”を観る将マンガ家が間近で見た<Number Web> photograph by Junsei Chida

人間将棋でも大活躍、そして大人気だった藤井聡太竜王

天童市内も将棋文化にあふれていた

「帰りの新幹線まで少し時間あるので、天童市内の将棋文化を少し味わっていきません?」

 担当さんの言葉に乗って、市内のメーンストリート散策に出かけました。

 今期名人戦第7局の会場となっている「天童ホテル」には過去の名人戦の様子が飾ってあったり、歩道に詰将棋があったり。

 そして将棋駒販売所に入ると、工芸士の方がラジオをつけながら黙々と将棋駒を作っている様子を見学できました。なおかつ販売所の奥に行くと、加藤一二三九段ら名棋士の色紙や、中原誠十六世名人と桐山清澄九段が相まみえた第39期名人戦(1981年)の秘蔵写真などもありました。

「現在74歳の桐山九段が33、34歳だった頃なんですね。弟子の豊島将之九段がもうすぐ32歳になるから……歳が近いな! って感じで、歴史を照らし合わせるとエモくなりますね!」

 担当さんもこんな感じで興奮していました(笑)。なお天童駅に併設されている将棋資料館にも、市内で行われたタイトル戦の棋譜が飾ってあり、将棋史のタイムスリップ気分を味わえること間違いなしです。

 駅に到着し、最後はお土産さがし。天童独自の将棋駒である「左馬」は商売繁盛の守り駒ということで絶対ゲットしなきゃなと、しっかりと手に入れられました。その一方で……。

「こま八君のグッズ、いっぱい買ってきてね」

 出発前、将棋好きの妻氏からは鋭い視線で、こう告げられてました。

 天童市観光物産協会のキャラクターである「天童こま八」君はその名の通り、将棋駒の形をしたゆるキャラ。愛らしいフォルムだし、たしかに何個かほしいなあと思っていたんです。

 さらに人間将棋の際、聞き手の竹部女流四段が「こま八Tシャツ」を着ていたのを妻氏は配信で見ていたらしく「Tシャツも買ってきなさい!」との指令が。僕(とそれを聞いた担当さん)は本気で焦ったんですが、お土産ショップに残り1枚だったTシャツを発見。先に買った左馬が、我々を救ってくれたのだと感謝するばかりでした。

藤井竜王たちを見送ろうと多くのファンが駅前で

 そんなこんなで帰りの新幹線まで時間つぶしで喫茶店にいると、駅前に人だかりが自然とできていました。

 どうやら地元の将棋ファン、さらには子どもたちが「藤井竜王ら棋士の皆さんを見送りたい」という思いで、しっかりとソーシャルディスタンスを取りつつ、到着した4人に拍手を送って見送っていました。それに対して藤井竜王もお礼をしながら駅構内へ入っていくという、なんという温かな風景。

【次ページ】 “藤井竜王の価値”を考えつつ新幹線待ちしてると

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