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「あなた方は進歩した」日本のW杯出場を喜ぶオシムの憂いと祈り「実はうまく歩けない」「プーチンは狂信的ですらある」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byGetty Images
posted2022/04/09 17:03
2021年5月、SKシュトゥルム・グラーツ対レッドブル・ザルツブルクの試合会場を訪れたオシム。体調は良かったり悪かったりだが、眼光の鋭さは健在だ
――そうかも知れません。
「それでオーストラリア戦はどうだったのか?」
――試合は拮抗して……。
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「いい試合だったのかどうか。勝ったのだから悪くはなかったのだろう」
――ええ、素晴らしい試合でした。
「よくなかったらハッキリとそう言うべきだ。常に褒めるばかりでは、進歩はあり得ない。予選突破を果たし世界の表舞台に再び立つことを喜んでいい。ひとつの前進でもある。チームは若返っているのか?」
――継続性を維持しながら進化しています。
進歩のために為すべきこと
「それならばこれからも良くなっていくだろう。ただすぐにというわけにはいかない。少し時間はかかるかも知れない。ワールドカップに継続して出場し続けることこそが重要だ。親善試合でも強敵と対戦する。私のときにクラーゲンフルトでオーストリアやスイスと対戦して優勝(三大陸トーナメント)したように、ときにヨーロッパに遠征する。そんな風にして学んでいく。世界を目の当たりにして、さらにはそこに入って行かなければ進歩はありえない。世界では今、どんなサッカーが実践されているのかを観察し体験する。
今、私がテレビで見ているのはブリュッセルの会談だ。生中継で、アメリカをはじめとするNATO諸国の首脳が集まり、これまでに起こったこととこれからどうすべきかを相談している。ウクライナの大統領は自国の窮状を訴え、誰が敵で誰が味方かをハッキリと語った。誰もがロシアの行為を憂いている。占領はいつまで続くのか。この戦争が早く終息することを私は願っている。あなた方も黙っているわけではないのではないか」
――批判は高まっています。
「ヨーロッパの影響は日本でも大きいハズだ。プーチンの行為はスターリンを彷彿させる。彼は世界の支配者になりたがっている。それが彼らの政治戦略だ。プーチンは狂信的ですらあり、強大な野望を抱いている。どこにも勝てると思っているし誰と戦うことも厭わない。ファナティックとしか言いようがない。彼らとこれ以上関わらずに済むことを願わずにいられない」
――そうですが、なかなか難しいでしょう。