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朱里とジュリア、“赤いベルト”戦を前にタッグ解散…スターダムを大きく変える「容赦なし」の対決とドンナ・デル・モンド結成秘話 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/03/25 17:03

朱里とジュリア、“赤いベルト”戦を前にタッグ解散…スターダムを大きく変える「容赦なし」の対決とドンナ・デル・モンド結成秘話<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

3.13後楽園ホール大会、タッグマッチの前哨戦で引き分けとなった朱里とジュリア。両国大会で2人を待ち受ける運命は…

朱里には“決まっている思い”があった

「DDMができて2年経ちましたけど、自分としても変わらなきゃいけない。自分が進化するために何をするか。私もいろいろ考えていました。自分の中で決まっている思いがあります。ジュリアとはずっと一緒にやってきて、たくさん話もしてきたので。そこはお互い分かってる部分があるんでしょうね」

 両者は2月23日の長岡大会での6人タッグマッチ、3.13後楽園ホール大会でのタッグマッチで前哨戦を行ない、いずれも時間切れ引き分け。激しく、かつテクニカルな攻防を展開した。

 朱里はエンターテインメント・プロレスの『ハッスル』でデビューし、さまざまな団体で活躍。立ち技格闘技のKrush、MMAのパンクラスでベルトを巻き、UFCにも参戦した。キャリア14年目にして“赤いベルト”を奪取、今がプロレスラーとして過去最高の状態にある。現在の女子プロレス界における“強さの象徴”と言っていい選手で、なおかつファイトスタイルは硬軟自在だ。キャッチフレーズは“世界に通用するモノが違う女”。

 一方のジュリアは2017年、アイスリボンでデビュー。2019年秋にスターダム“電撃移籍”を果たすと、翌年には女子プロレス大賞を獲得した。身上は激しく妥協のないファイト。その代償として、昨年は首の負傷による長期欠場も経験した。12月の両国大会で復帰、再出発でターゲットに定めたのが“赤いベルト”だった。

“DDM離脱”のようにも見える朱里の動向は…

 朱里とジュリアはどうなるのか。3人からスタートして今や8人の大所帯になったDDMの今後は。ファンが注目する中、3.20浜松大会では朱里、ジュリア、舞華がチームを組む。DDMのオリジナルメンバー3人だ。翌21日の名古屋大会では「アリカバ・メモリアル」と題された試合で朱里&ジュリアがリングへ。勝利を収めた後、ジュリアがタッグ解散を宣言した。

「アリカバは今日で終わり。これで最後っていうのももったいないけど、私と朱里はこれからお互いの未来のために、スターダムの未来のために離れるべき時がきたんじゃないかって」

 朱里は3.26両国大会に「最強のボディガード」を連れてくると言う。「だからドンナ・デル・モンドのみんなはジュリアのセコンドにつけばいい」と。3.21名古屋大会のメインイベントでは、DDMのテクラがSWA王座戦に勝利。試合後にはリングにDDMのメンバーが集まったが、そこに朱里の姿はなかった。形として、朱里のDDM離脱のように見える。3.26両国での対戦の後には、さらに具体的な動きがあるはずだ。

 ユニットでの闘いが基本のスターダムだが、タイトルマッチでは“同門対決”も珍しくはない。ただ団体最高のベルトをかけてビッグマッチで闘うのに「本当は仲間だけど」といった思いが“不純物”になってはいけないということなのだろう。前回の対戦から朱里もジュリアも成長し、変化している。DDMを作ったリーダーはジュリア。だがリーダーとは別に“最高峰のチャンピオン”がいる。そこに不自然さも感じていた。ジュリアは言う。

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