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朱里とジュリア、“赤いベルト”戦を前にタッグ解散…スターダムを大きく変える「容赦なし」の対決とドンナ・デル・モンド結成秘話
posted2022/03/25 17:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
スターダムの王座争いは、プロフェッショナル同士のシビアな局面を迎えた。
3月26日、27日の両国国技館2days興行。メインイベントでは両日ともに団体最高峰の“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダムのタイトルマッチが行なわれる。現王者は朱里。26日にはジュリアが挑戦し、27日にはその勝者に“スターダムのアイコン”岩谷麻優が挑む。
昨年12月にベルトを獲得した朱里にとっては、ジュリア戦が2度目の防衛戦。この2連戦を乗り切ってベルトを守ることを、チャンピオンとしての試練だと考えている。「2人に勝ってこそ絶対王者」だと。
「岩谷麻優には、初めてワールド王座に挑んだ試合で負けています。それがきっかけで、私はスターダム入団を決めました。このベルトがほしいからスターダムの一員になったんです。ジュリアとは一昨年の12月に白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム)とSWA世界王座のダブル王座戦で時間切れ引き分け。岩谷ともジュリアとも、いつか決着をつけなきゃいけなかった。そのタイミングが、両国国技館2連戦という最高の形で来たんです」(朱里)
朱里とジュリアは同じユニット「Donna del Mondo(ドンナ・デル・モンド=DDM)」に所属。いわば同門対決だ。しかも2人はタッグチーム「アルト・リヴェッロ・カバリワン(アリカバ)」としてタッグベルトを巻いたこともある。盟友というべき関係だ。チームメイトだからこそ、お互いが認め合う関係だからこそ好勝負が期待できる。そんなカードだと思われていた。
ジュリア「もう一緒にやっていくのは難しいんじゃないか」
ところが、3月3日の会見で様相が変わった。タイトルマッチの調印が終わり、ジュリアがマイクを握る。試合に向けての意気込みが、なかなか口から出てこない。明らかに思い詰めた表情。そしてこう語ったのだった。
「この試合は……単にベルトがかかっているだけの試合じゃない。今後のドンナ・デル・モンドがどうなっていくのかもかかってるのかなと。どっちが勝っても、もう一緒にやっていくのは難しいんじゃないかって。ドンナ・デル・モンドはジュリアが作りました。朱里はずっとそばで支えてくれた。そんな朱里と、いつかすべてをかけて闘う日がくると思ってました。それが3月26日。これからどうなるか分かんないけど、はっきりさせましょう」
朱里も「私が勝ったら、私の道を行く」とコメントした。会見後に聞くと、この件に関してジュリアと事前に話し合ったわけではないそうだ。ただ、そうなるのではないかという予感はあった。