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スポーツ界からの除外処分…ロシアの主張「人種差別」「政治とスポーツは切り離すべき」が大間違いである理由
posted2022/03/15 17:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Getty Images
世界のスポーツでロシア、ベラルーシの除外が止まらない。
IOC(国際オリンピック委員会)が国際スポーツ連盟に2カ国除外の勧告したのをきっかけに、サッカーW杯予選プレーオフ、国際パラリンピック委員会、また世界陸上競技連盟、国際スケート連盟、国際スキー連盟、国際テニス連盟(国名や国旗の使用は認めていないが、個人としての出場は容認)、国際バスケットボール連盟などからすでに資格停止処分を受けている。ロシアのお家芸ともいえるフィギュアスケートも3月下旬に予定されていた世界選手権への出場ができなくなった。
ロシアの「除外は差別だ!」という主張
ロシアが参加しないフィギュアスケート世界選手権など無意味、ロシア選手の除外は差別だ、というロシア側の被害者めいた声も目にしたが、彼らは今回の本質を理解していないのか、もしくは本質をずらそうとしているのか。いずれにしても理解に苦しむ。
五輪憲章に「オリンピズムの目的は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を奨励することにある」と書かれている(※1)。
国を代表して国際スポーツの舞台で戦う場合、五輪憲章への同意が基本的条件にあるが、ロシアはそれに反した。ただそれだけだ。
ロシア政府はウクライナの人々の尊厳を傷つけ、彼らの生活を破壊した。それは明白な事実である。
過去には日本も対象に…国際スポーツ除外処分の歴史
そもそも国際スポーツから除外や資格停止処分を受けたのはロシアが初めてではない。ドーピング問題のようなスポーツそのものに関わる理由だけではなく、政治的、人道的な理由での処分も多い。
まず政治的、人道的な理由から紹介したい。
第一次世界大戦後、1920年にベルギーのアントワープで行われた五輪では、同盟国側のドイツ、オーストリア、ハンガリー、トルコ、ブルガリアの5カ国は招待されなかった。
日本も除外された経験を持つ。