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2270億円をチェルシーに投じた「石油王アブラモビッチ」が資産凍結されて… 再燃する“プーチン・サークルの一員”疑惑
 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byPA Images/AFLO

posted2022/03/11 17:02

2270億円をチェルシーに投じた「石油王アブラモビッチ」が資産凍結されて… 再燃する“プーチン・サークルの一員”疑惑<Number Web> photograph by PA Images/AFLO

2011-12シーズン、CLを制したチェルシーとアブラモビッチオーナー。栄光から10年、2度目のCL制覇を成し遂げたクラブは突然、大転換点を迎えた

 さらにその株式の大半を『ガスプロム』──先ごろUEFAやシャルケが契約を破棄したロシアの半国営企業──に130億ドル(約1兆4900億円)で売却して、途方もない富を成したことも。本来であれば、それらはロシア国民の財産と考えられるものだが、激動の変革期と強力な支配者のもとでは、鼻の利くひと握りのビジネスマンだけが、甘い蜜にありつけたということなのだろう。

モウリーニョ以来、ピッチでは痛快だったが……

 そう考えると、この19年間の西ロンドンの熱狂は、一体なんだったのかと思えてくる。特に初期のジョゼ・モウリーニョ監督に率いられたチェルシーが、それまでのイングランドのヒエラルキーを覆す様は痛快だった。だがそれを可能にしたのが、想像を絶するレベルの不正と腐敗によって獲得された資金だったとしたら……。

 英国のボリス・ジョンソン首相は、「汚れたカネ」を一掃すると息巻いているが、戦争という一大事になって、ようやく重い腰が上がったようにも見える。

 アブラモビッチの登場により、トップレベルのクラブ・フットボールでは、もはや彼と同程度の投資ができるパトロンを持つチームにしか、勝ち目はほぼなくなってしまった。もう後戻りはできないのだろう。今シーズンも、深い闇を持つ国家と密接に関連するファンドが、プレミアリーグのクラブを買収しているように。

 はたしてフットボールは、そこまでして極められていくべきものなのだろうか……。<FIFA会長編に続く>

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