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“致命的なミス”で評価を下げた田中碧が巻き返すために必要なものとは? 日本代表には不可欠でもドイツ2部では苦戦中な理由 

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中野吉之伴

中野吉之伴Kichinosuke Nakano

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posted2022/03/10 06:00

“致命的なミス”で評価を下げた田中碧が巻き返すために必要なものとは? 日本代表には不可欠でもドイツ2部では苦戦中な理由<Number Web> photograph by Getty Images

日本代表での活躍とは裏腹に、ドイツで苦しむ田中碧。監督交代を機に、チームは復調の気配を見せているが……

 歯車は噛み合わなければ、互いに摩耗し続けることになる。田中だけではなく、チーム全体が迷子になり、歯止めがきかない状態まで落ちていってしまった。

 チームを辛抱強く支えていたファンも、ついに怒りを爆発させた。第21節のキール戦だ。そして、この試合で致命的ミスを犯してしまったのが田中である。

パスの出しどころを探している間にボールをロスト

 74分から途中出場した田中は、アディショナルタイムに中盤でボールロスト。そこからカウンターを食らい、ヨナス・シュテルナーに強烈なミドルシュートを決められたのだ。

 0-0で迎えた終盤となると、引き分けで良しとするのか、是が非でも勝ちにいくのかで迷いが出る。中盤センターでボールを受けた田中に対して、周りの選手からのサポートが少なかったのも確かだ。状況を打破してチームを助けたいという思いもあっただろう。

 だからといって、パスの出しどころを探している間にボールをロストしてしまうのは、いただけない。地元紙『ライニッシェポスト』は「ボールロストだけでなく、その直後に相手を止めることができず、最後のところでもクリアすることができなかった」と厳しく言及。SNSでも、ファンからの辛辣なコメントが見られた。

 3部リーグ3位との入れ替え戦に回る16位まで順位を落としたため、2月8日にプロイサー監督は解任。新監督にダニエル・ティウーヌが就任した。ティウーヌは昨季、名門ハンブルガーSVの監督を務めたが、1部昇格を果たせずに解任。しかし結果を出せなかったとはいえ、丁寧な戦術指導とチームを構成する能力に長けた指導者だ。2017年の国際コーチ会議で彼のトレーニングデモンストレーションを見たことがあるが、とても論理的なコーチングで、パスコースが生まれる瞬間を説明したり、体の向きや角度の作り方まで丁寧に言及したりしていたのが印象的だった。

新監督は田中以外のボランチを信頼

 チームにとっても、田中にとっても大事な仕切り直しである。就任直後となったシャルケとの試合を2-1でものにし、翌節のアウエ戦も3-1で勝利した。ティウーヌ監督は選手個々の役割をシンプルにまとめながら、全員が自分なりの持ち味を発揮できるようにアプローチしている。

 多少の粗さには目を瞑り、勇敢さを失わずゴールへの最短距離を狙う。2部においては、そうした部分で力を発揮する選手が起用される傾向が強い。実際、シャルケ、アウエとの2連戦では田中ではなく、キャプテンのマルセル・ソボットカ、ポーランド人のヤクブ・ピオトロフスキがダブルボランチを組んだ。

 ティウーヌ監督は「マルセルはサイドチェンジのタイミングがよく、ポゼッションでの冷静さもあった。クーバ(ピオトロフスキ)は走り込むコースに優れて、ヘディングにも強い。全体的に満足だ」と信頼を口にした。

【次ページ】 スタメン起用で感じられた強い意志

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