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フィギュア選手の親ってやっぱり大変? 本音を聞いた「スケート靴11万円、衣装4万円」「個人レッスン料30分約5000円」「片道40分を週3回」 

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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posted2022/03/04 11:02

フィギュア選手の親ってやっぱり大変? 本音を聞いた「スケート靴11万円、衣装4万円」「個人レッスン料30分約5000円」「片道40分を週3回」<Number Web> photograph by Getty Images

習い事としても人気が高まるフィギュアスケート。「お金がかかりそう」「親の負担が重そう」という印象があるが実際のところはどうなのだろうか?(※写真はイメージ)

個人レッスン料はどのくらいかかる?

 もちろんトップレベルを目指すなら、高い級を取得するための課題をこなす技量が必要となり、そのぶんコーチにパーソナルな指導を求めて、練習頻度も増やさざるを得ない。どの程度の競技レベルを求めるかで、費用が増減する点は他のスポーツと変わらないわけだが、フィギュアスケートの世界は若干特殊で、コーチたちの多くはギャラに関しておおらかな面もあるという。

「私の娘は関西大学のリンクで、たまたま有名コーチの指導を受けましたが『少しなのでサービスでいいですよ』と無料でした。私の母が若い頃に、後楽園アイスパレス(1951年~1971年)に遊びに行ったときも、リンクの専属コーチだった稲田悦子先生(1924年生まれ。日本の女子フィギュアスケートの先駆者)が、みずから手を引いて教えてくれて、『スケート人口を増やすためだから、この程度でお金は取らないわよ』っておっしゃったんだとか。フィギュアスケートの競技人口が少ない日本では、競技を続けてもらうためにボランティア感覚でコーチが指導をしてくれる時代があったんです。そのような文化が背景にあるため、海外と比べると日本のコーチたちのレッスン料は良心的。アメリカでは時給でキッチリ請求してきますし、それが払えなくてコーチの元を去る選手もいますからね」(梅田氏)

 ちなみに、明治神宮外苑アイススケート場のヘッドコーチたちは、華やかな競技歴と長い指導歴を持ちながら、個人レッスン料は30分4720円だ。ただ、子どものスケート技術が向上して大会に参加する段階になると、帯同するコーチの旅費や宿泊費が必要になる。

「これは日本でもアメリカでも一緒ですが、ひとりのコーチに複数人の教え子がいる場合は、保護者たちで頭割りしてコーチの実費を賄うんです。同じコーチに教わっている子は、競技上はライバルなんですが、その子が途中で負けて次に進めないと、残った子の保護者の負担割合がきつくなるわけです。私の娘は、シカゴの中学を経て福岡の高校にスポーツ推薦で入りましたが、同じ学校の選手がいつも1人くらいしか勝ち残らない。名古屋の山田満知子コーチの選手たちが10人も20人も勝ち残るのを見て、いいなあと思っていましたよ」(梅田氏)

スケート靴11万円、衣装は3~4万円「才能があればお金はかかる」

 フィギュアスケートの世界では、年間を通して多くの大会が開催されるが、6級を持つ柳田さんの娘さんは、5月(埼玉)、8月(山梨)、11月(埼玉)に出場予定。他にも、予選を勝ち抜けば、来年1月のインターハイ(開催地未定)や2月の国体(青森)を狙えるという。

【次ページ】 スケート靴11万円、衣装は3~4万円「才能があればお金はかかる」

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