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15歳ワリエワ騒動を“ただのドーピング事件”にしてはいけない理由…選手たちが語った“ロシアフィギュア界の闇”「みんなやってるよ」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byJIJI PRESS

posted2022/02/15 17:50

15歳ワリエワ騒動を“ただのドーピング事件”にしてはいけない理由…選手たちが語った“ロシアフィギュア界の闇”「みんなやってるよ」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

北京五輪女子フィギュアスケートの金メダル候補、ロシアのカミラ・ワリエワのドーピング違反騒動。14日、スポーツ仲裁裁判所は「個人戦出場」を認める決定を下した

「安定した演技をする秘訣は?」

 ファンからの些細な質問だったが、それに対し、シャボトワはこう答えた。

「いっぱいドーピングをすることで、安定した演技ができるんだよ。それが成功の秘訣。正しい薬を飲むことが大切だけどね」

 その答えに驚いたファンがこう続けた。

「五輪メダリストを輩出しているモスクワのチームでも禁止薬物を使用しているの?」

「もちろん、みんなやってるよ」

 この発言は当然ながら大きな物議を醸したが、ロシア反ドーピング機関やモスクワ市スポーツ局がシャボトワと話をし、シャボトワが謝罪して幕引きとなっている。

 シャボトワは当時13歳だったが、中学生が「安定した演技の秘訣は」と聞かれたら、ハードな練習をしてよく食べて寝ること、というような答えをするのが一般的ではないだろうか。ドーピングという言葉がサラリとでる中学生がいること自体が驚きで、彼女が「ドーピング」と答えたのは、なんらかの根拠があると考えるのが妥当だろう。

 ドーピング問題以外にも気になることがいくつかある。

深刻な健康問題も「五輪中に固形物を口にしなかった」

 ロシアの女子フィギュアは10代前半の若い選手が多いが、彼女たちの健康が守られているようには感じられない。

 平昌五輪金メダルのアリーナ・ザギトワは、五輪後に4回転ジャンプに挑戦するかどうか問われたところ、「4回転に挑戦するにはタフな心身が必要だと思っている。それに(もし挑戦するなら)体重を3キロ減らさないといけないし」と慎重な姿勢を見せた。平昌五輪の時も十分にスリムで、それ以上の減量は少し無謀にも思われた。

 4回転への挑戦が難しいからかどうかはわからないが、若い選手の台頭もあり、ザギトワは2020年以降、主要大会には出場していない。

 ザギトワの同門の先輩であり、2014年ソチ五輪に15歳8カ月で出場し、団体戦金メダルに貢献したユリア・リプニツカヤも体重問題で苦しんだ。彼女は、さまざまな取材でソチ五輪中に固形物を口にせず、粉末飲料(シェイク)のみ摂取していたと話していたが、摂食障害を患い、3カ月もの間、入院生活を余儀なくされた。2017年には19歳で引退を発表している。

衝撃の発言「33キロから59キロをウロウロしていた」

 同じく同門のアリョーナ・コストルナヤは、2020年7月にトゥトベリーゼからプルシェンコにコーチ変更した際にSNSでこんなことを言っている(後に投稿は削除された)。

【次ページ】 身長158cmで「33キロから59キロをウロウロ」

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