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「ヨーロッパの人も見習ったほうがいい」フェルスタッペンも認める、ホンダを成功に導いた日本特有の“集団主義”とは
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2022/02/11 11:00
チャンピオンになる前からホンダへのリスペクトを度々表明してきたフェルスタッペン。信頼関係は当初から強固だった
その新たな道とは、ホンダが知的財産権を有したまま、レッドブルに日本で製造したパワーユニットに関する知的財産権の使用を許諾し、新たに設立した「レッドブル・パワートレインズ」で管理、運用を行うという方法だ。
さらにレッドブル・パワートレインズには、22年2月末でファクトリーを閉めるHRD UK(ホンダF1がイギリスに構えていた前線基地)から多くのホンダのスタッフが移籍することも決まっている。
日本の文化をさらに世界へ
技術者だけではない。レッドブルはコンサルタントにも日本人を起用した。マネージングディレクターとして、ホンダの30年ぶりのチャンピオン獲得に大きく貢献した山本雅史だ。ホンダを1月末に退社した山本は、新しく自らの会社を設立し、レッドブル・パワートレインズと契約を結び、22年はヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)とクリスチャン・ホーナー代表の指示に従ってコンサルティング業務を行い、レッドブルをサポートすることになっている。
山本は言う。
「大きくいえば、日本との橋渡しです。ホンダはもちろん、今後ほかの日本の企業がレッドブルと一緒に仕事する際に、レッドブルに日本の文化を説明しながら、良い関係を築くお手伝いをするというのが主な業務です」
ホンダのF1参戦は終了したが、ホンダがF1界に開けた新たな風穴には、22年以降も新しい風が吹き込み続けるだろう。