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「そんなら、やめたるわい!」「解散や!」“結成47年”オール阪神・巨人がおぼん・こぼんに明かす「じつは僕らも解散ギリギリでした」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2022/02/13 17:00
結成57年のおぼん・こぼん(右)、結成47年のオール阪神・巨人。東西を代表する漫才コンビの“超ビッグ座談会”が実現。おぼんさん(一番右)の「漫才コンビは、基本、仲悪いと思うねん」というひと言から話がスタート
巨人 僕は稽古でできへんもんが本番でできるわけないという考えやから、腹立ちますやん。でも、阪神君は、本番ではできたりする。それもまた腹が立つんですよ。だんだん些細なことでも気に障るようになってきてね。空港のレストランで、阪神君がくちゃくちゃ音を立ててものを食べるから、それで大ゲンカになったこともあったな。あげ句、こいつが歩いてるだけで腹立つみたいな。いや、ほんまに。
おぼん ほんま、ほんま。同じや。おれもそうや。
こぼん その繰り返しですわ。
巨人 うちはケンカして、殴り合いになったりでもしたら、僕が勝ってしまいますやんか。
こぼん 力が強いからね。
巨人 だから必ず5mぐらい離れて、「なんじゃ、こら、おまえ!」と。ただ、ちょっといいネタができて、舞台でウケたりすると、仲ようなるんですわ。
阪神 一瞬ね。それはあります。
おぼん ウケたら楽屋にもどっても、客が沸いた余韻が残っとるもんな。よかったな、って。
阪神 あの感覚は漫才で爆笑を取った経験がない人にはわからんですよね。どうや、みたか、って。
おぼん それでもってるところもあるな、漫才コンビって。
こぼん そこは、みんな共通してるでしょ。
オール阪神・巨人の「解散ぎりぎり事件」
――オール阪神・巨人さんは、その昔、阪神さんが舞台の出番に遅刻し、そのときは本当に解散寸前までいったんですよね。
阪神 よう覚えてます。僕は1人でラジオに出ていて、ちょっと時間が押してしまったんです。携帯のない時代やから、マネージャーに劇場に連絡を入れてくれるよう頼んどいたんやけど、手違いで、その連絡が相方のところまで届いてなかった。
巨人 僕らはその頃、まだ出番は真ん中あたりやった。その日は、桂小文枝師匠や人生幸朗師匠があとに控えてはって、阪神君がなかなかこないものだから、小文枝師匠のところに「申し訳ございません、先に出ていただけませんか」って頭を下げに行き、最後は人生師匠にも謝罪し、出番を変わってもらったんです。結局、僕らはトリになってしまって、どうしよう……と思っているところへ、阪神君がやって来た。鳩胸やから、ふんぞり返ってるように見えるわけですよ。腹立って、腹立って、「どんだけこっちが頭下げたと思ってんねん!」言うたら、「こっちにもちゃんと理由はあるわ! そんなら、やめたるわい!」って逆ギレされて。キレたら阪神君は僕より怖いですからね。そんで、もう、お互いに「解散や!」言うて。解散いう言葉を使ったのは、あんときが最初で最後やな。
阪神 僕も、もう解散するつもりでおりました。