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フィギュア海外記者の驚き「日本は今まで彼をどこに隠していた?」 “トップ選手不在”の四大陸選手権で日本勢躍進の“大きな意味”
posted2022/01/30 17:04
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
1月20日からエストニアのタリンで開催されていた2022年四大陸選手権で、日本チームが素晴らしい成績を上げた。女子は三原舞依が2度目の優勝を果たし、男子では友野一希が2位、初挑戦した16歳の三浦佳生が3位に。アイスダンスでは村元哉中&高橋大輔が2位で日本のアイスダンス史を塗り替え、派遣された3種目すべてでメダルを獲得。日本はスケート王国の名に恥じない、堂々たる結果を出した。
北京オリンピックを2週間後に控え、今季の四大陸選手権はアメリカ、カナダ、日本は五輪代表に届かなかったトップの“次の層”が派遣された。
ここで問われたのは、その国の全体レベル、層の厚さである。今季のオリンピック終了後、ある程度の世代交代は必ず行われる。その時に、次に控えている層がどのくらいの実力なのかを世界に示す、大事な大会であった。
そして日本の選手たちにとっては、全日本選手権での悔しい思いを晴らす機会でもあった。
5年ぶりタイトルの三原「全日本の悔しさは晴らせたかな」
三原舞依はこの大会の目標を聞くと、「まず全日本の悔しさというのを糧にして、SP、フリーを完璧にやるということが一番の目標。そして日本の代表として選ばれたからには、表彰台の一番高いところを目指したいと思ってきました。練習の時からどんなことがあってもやり切るという思いでやってきました」と答えた。
12月の全日本のフリーでは、事前の練習で調子が良かったのに本番でミスが出て、総合4位に終わった。その時のフラッシュバックを頭から拭い去ることができずに、フリーでは緊張のあまり、最初から涙をこらえて演技を開始したという。最後のビールマンスピンで足をつかみ損ねたものの、それ以外はノーミスで滑り切った。キス&クライに座って145.41という数字が出ると、驚きのあまり両手で顔を覆った。総合218.03で、2017年以来2度目のタイトルを手にした。
ここでの演技と結果で、全日本の思いを晴らすことができたのか。
「最後のスピンだけは悔しいんですけど日本代表として金メダルを持ち帰ることができるのは本当に嬉しくて、全日本での悔しさは晴らせたかなと思います」。三原はそう答えた。
17歳の松生理乃はSPの転倒が出た中で、フリーは最後までノーミスで滑り切って3位。フリー、総合ともにパーソナルベストスコアを出して、SP8位から総合で5位まで追い上げた。
横井ゆは菜もSP12位の厳しいスタートから、フリーではパーソナルベストスコアを出して6位に。総合7位になった。