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敵地の少年ファンから「KUBO!」と声が飛ぶ人気の中… 久保建英が“万全でなくても”フル出場で頼られた理由〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/01/15 11:02
2022年の初戦に臨んだ久保建英
表情からも伝わる“なんとかしたい”
なかなか良い状況でボールが回ってくることはなかったですが、最終ラインの裏に抜ける、1人で2人を剥がすなど、表情からも“なんとかしたい”という思いが伝わってきました。
そして68分、ちぐはぐながらも必死のマジョルカの攻撃が功を奏してPKを得ました。しかし、途中出場のブライアン・オリバンのシュートはセーブされてしまいました。その後、副審の判定に不満の抗議をする久保の姿も撮りました。
意気消沈するかと思われたマジョルカでしたが、途中出場のサルバ・セビージャのパスカットからフェル・ニーニョがゴールを揺らしました。しかしVARによる判定で、セビージャのハンドとなって得点は取り消されることに。
74分にはホッペが投入されツートップ気味の前線にボールを送り込みましたが、ゴールにはつながりませんでした。
久保は足に疲れが相当きているようでしたが、最後までピッチに立ちました。その中でショートコーナーでエリア外から直接狙ったシュートがゴールを揺らしましたが、直前にオフサイドの笛が鳴っていました。
この試合、決してレバンテ贔屓の審判ではありませんでしたが、PKやレッドカードが出るなどヒートアップした展開に、また初勝利に向けて、時が進むごとに盛り上がるスタジアム全体の雰囲気に、審判がナーバスになっていた部分はあったと思います。
この久保のプレーがオフサイドかどうかは分かりませんが、リプレイで見てもかなり際どいプレーであったのは間違いありません。
自分の認識では際どいオフサイドは、該当したプレー直後に笛を吹かれることはなく、シュートに行くなど流してから判定がされるのが今の傾向と感じています。ただ久保がシュートを打つ前には笛が鳴っているため、VARで判定されることもありませんでしたが、果たして正しい判定だったのかは疑問です。
写真の表情から感じる責任感と強い気持ち
3試合ぶりの復帰戦がフル出場となった久保ですが、明らかに万全の状態ではありませんでした。コロナの影響もあり、メンバー構成がかなり苦しい状況も相まって、納得のいかない結果だったと思います。
気合だけではどうにもならない、結果が求められるプロの世界ですが、写真に写る表情の節々に気持ちを感じることはできました。
リーグ戦の次節は間にホームで迎える国王杯エスパニョール戦を挟み、2週間後のビジャレアル戦になります。メンバーが限られる中、どのようなマネージメントを監督が行うのかにも注目です。
なおこの試合の行われたバレンシアは、スペイン第三の都市で、パエージャやオレンジなどでも有名です。また、スタジアムから徒歩30分強でバレンシアCFのメスタージャ・スタジアムもあります。バルセロナからは地中海沿いを電車に揺られ3時間弱の旅です。
せっかくなのでお勧めされた老舗でバレンシア風パエージャを食べましたが、美味しいけど普通という感じで消化不良でした……。
悔しいので、バルセロナに戻る直前にバレンシア中央駅前の中華で頼んだ炒飯が絶品でした。美味しいパエージャを求める旅はもう少し続きそうです。