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敵地の少年ファンから「KUBO!」と声が飛ぶ人気の中… 久保建英が“万全でなくても”フル出場で頼られた理由〈撮影者の視点〉 

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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photograph byDaisuke Nakashima

posted2022/01/15 11:02

敵地の少年ファンから「KUBO!」と声が飛ぶ人気の中… 久保建英が“万全でなくても”フル出場で頼られた理由〈撮影者の視点〉<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

2022年の初戦に臨んだ久保建英

トップ下から両サイドに流れて積極的に

 マジョルカの左サイドには、Bチーム登録19歳のジャブレスがリーガ初先発。積極的に攻撃を仕掛けようとする姿がみられました。CKの場面では、久保とジャブレスのコンビプレーで相手を翻弄するシーンもありました。

 トップ下の久保は右サイド、左サイドと積極的にボールを受けに出ました。特に右サイドに入ったサンチェスとはポジションを何度も変え、サイドに出た久保からアントニオ・サンチェスへとスルーパスを狙うシーンもありましたが、反応できなかったサンチェスがナイスボールというようなジャスチャーを久保に向けていました。

 1対1の局面では相手を振り切り相手ゴール前でファールを受けチャンスを作ります。

 マジョルカは前半から何度か決定的なシーンをつくりかけましたが、ゴールを決めきることはできませんでした。

 また序盤以降は、中盤だけでもレギュラークラスのダニ・ロドリゲス、ババ、イ・ガンインと居ないなかで久保までボールを展開できなくなってきました。なかなかボールに触ることもできず「どうすればいいんだ?」というような仕草を監督に向ける場面も撮影できました。

 前半終了間際には一瞬でしたが、味方のプレーにガクッとうなだれてしまうシーンもあり、ピッチ上でのちぐはぐさを物語っていましたが、すぐさま手を叩き、チームを盛り上げる姿が印象的でした。

万全でなくても久保に頼らざるを得ない状況

 両チームメンバー変更なく後半が開始されると、久保は前線から積極的にプレスに出ました。
 
 フェル・ニーニョがサイドでボールを持つと、中央の久保がサイドに抜けDFを引き連れます。久保を囮にそのスペースにドリブルしシュートまで持ち込みましたが、GKに難なくキャッチされると、そのままカウンターで失点してしまいました。

 対するレバンテは元スペイン代表36歳のソルダードのゴールに、GKのアイトール・フェルナンデスがサポーターに向かい歓喜を爆発させます。シーズン初勝利に向かって選手、サポーターが一体となった雰囲気に、この試合にかける両チームの思いの大きさの違いを感じざるを得ませんでした。

 ビハインドのマジョルカは前から圧をかけたいところですが、チーム全体としてちぐはぐ感が拭えません。久保自身も、最後の局面でパスが届かなかったり、シュートをふかしてしまいました。

 理由は明言されていませんが、試合を欠場していただけでなく、練習にも参加できていなかったことからくる、体力的な問題、試合勘の欠如などが徐々に現れてきていました。

 試合後の監督コメントで「ほとんど練習出来ていなかったのに、なんでフル出場できたのか分からない」と言ったほど、久保の状態はパーフェクトから遠かったはずですが、それでも久保に頼らざるを得ないほどの状況だというのが分かります。

【次ページ】 表情からも伝わる“なんとかしたい”

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