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敵地の少年ファンから「KUBO!」と声が飛ぶ人気の中… 久保建英が“万全でなくても”フル出場で頼られた理由〈撮影者の視点〉
posted2022/01/15 11:02
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。久保建英にとって2022年のファーストゲームを撮影者の視点で追ってもらった。
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1月8日、リーガ第20節レバンテvsマジョルカ戦撮影のため、バレンシアを訪れました。
久保建英はチームからの公式発表がされないまま、昨年末のグラナダ戦を最後に、リーガでのバルサ戦、国王杯のエイバル戦と欠場していましたが、この試合の招集リストに名を連ねました。
しばらくチーム練習に参加できていないとの情報もあり、万全の調子ではないことが推測されたものの、コロナ陽性者や累積警告での出場停止選手などのチーム状況から、先発出場もあるのではないかと撮影に向かいました。
レバンテのホームスタジアム、シウダ・デ・バレンシアスタジアムは、全席上部に屋根が設置されるなど、コンパクトながらもサッカー観戦に最適なスタジアムです。
マスコットのブラウとグラナはカエルということですが、宇宙人のようにも見え、キモイ寄りのキモ可愛いキャラでしょうか。
メンバー発表があり、先発に名を連ねた久保が、スタジアム中央の入場通路からアップに出てきました。14時開始の試合、強い日差しを受けランニングからストレッチ、ボールを使ったトレーニングを行うなか、水分補給をする姿も撮影できました。
またスタンドからは「KUBO」という声がちらほらと聞こえました。振り向くとレバンテの少年ファンたちがかけた声でした。
ホームでマジョルカを迎え撃ったレバンテは、19節終了時点でまだ勝ち星のない最下位チーム。そのためか、是が非でもサポーターの前で今季初勝利を! という気合が伝わってくるアップの雰囲気でした。
最下位ではありますが、得点数だけを見ると中位のチームと同じくらいの得点力を持っており、ベストメンバーが揃わないマジョルカにとっては、与し易い相手ではありませんでした。
両チーム挨拶からチーム写真撮影が終わると、久保はサイドライン際で水分補給を行い、開始直前の円陣に向かって行きました。
なおマジョルカのルイス・ガルシア監督は、かつてレバンテを率いた経歴を持っています。
キックオフ。ピッチに散らばった選手たちを見ると、久保はトップ下のポジションでスタートしました。まずは開始早々、ディフェンスラインの裏にパスを呼び込み走り込みます。また相手CBにも積極的にプレスをかける姿がファインダー越しに見えてきました。