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〈日本勢にとって最大のライバル〉フィギュア全米選手権男子はトップ4が大接戦…17歳の原石が代表落選の裏に“団体メダルへの思惑”か 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2022/01/13 17:03

〈日本勢にとって最大のライバル〉フィギュア全米選手権男子はトップ4が大接戦…17歳の原石が代表落選の裏に“団体メダルへの思惑”か<Number Web> photograph by Getty Images

アメリカ代表に決定した、左からヴィンセント・ジョウ、ネイサン・チェン、ジェイソン・ブラウン

代表決定…マリニンを北京に行かせるべきだという意見も

 1位チェン、2位マリニン、3位ジョウ、4位ブラウンという順位の中で、誰が北京の代表に選ばれるのか、プレスルームでも様々な意見が交わされながら緊張の数時間が過ぎた。

 結局USFSは、チェン、ジョウ、ブラウンの3人をオリンピック代表に選考した。通常であれば、フリーで4回転を4本跳べる選手が落選というのは、考えられない。17歳という年齢だからこそ、将来の経験のためにマリニンを北京に行かせるべきだという意見も周りからは聞こえてきた。

 米国の連盟の選考基準は、この全米選手権の成績以外に昨年の世界選手権、今季のGPシリーズ、国際大会での得点の安定度など、様々な項目が細かく設けられている。

 マリニンは今季はジュニアGPシリーズ2大会で優勝しているが、ISU公認のベストスコアは245.35である。また11月に出場したオーストリア杯では222.55と、全米よりも80ポイント低いスコアだった。

 その一方で、ブラウンは今季出場したフィンランディア杯とGPシリーズ2大会全てでメダルを手にし、スコアは260ポイント前後と安定した結果を出してきた。

アメリカの最大のライバルは“疑いもなく日本勢”

 個人戦だけでなく、団体戦のメダルがかかっている米国にとって、この安定した結果を出すというのは非常に重要な項目である。団体戦の翌日に男子SPというスケジュールから見て、チェンは個人戦に集中する可能性もゼロではない。その場合、安心して団体戦を任せられる選手2名が必須となる。中にはこのところ好不調の激しいジョウよりも、マリニンを行かせるべきだという意見も耳にした。もちろん様々な意見はあり、これが絶対正解というものはないだろう。だが少なくとも、この3人の選択は理不尽なものではない。

 ブラウンは代表者会見で、マリニンのことをどう思うかと聞かれてこう答えた。

「ぼくは20年もこのスポーツをやってきて、あらゆる立場に立ったことがあります。若い新人で選ばれたこともあるし、自分が代表に漏れておいていかれたこともあった。今日の彼は信じられないほど、素晴らしかった。今の彼が感じているであろう気持ちは、とても言い表せません。ただUSFSは、イリヤのような才能ある若手がいてとてもラッキーだと思います」

 ベテラン3人で赴く北京では、彼らはおそらく日本勢の最大のライバルになるだろう。決戦の日は、着々と近づいている。 

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